特別展『聖地 南山城』③(禅定寺十一面観音)
2009年発売「見仏記」ゴールデンガイド篇でこの仏像のことを知り、2011年秋に初めてお寺を訪問してから2014年に京博の「南山城の古寺巡礼」そして奈良博の本展で3回の再会となる。いつ見ても同じ印象だが大きいと感じるのは桜の古木を仏像にしたからであろう。見仏記によると「夏休みたっぷり遊んだ少年の肌」を思わせるような童顔の仏像だ。東大寺の高僧が隠棲の地として建立した禅定寺に建立当初から本尊として祀られていた平安前期の作で当初は文殊・虚空蔵菩薩を脇侍としていた記録が残されている。現在は日光・月光の両菩薩と四天王・を従えている。奈良博の山口学芸員によるとサクラとヒノキの二材を混用する点に特色があり両菩薩・四天王・文殊菩薩にも二材が混用され同時期に制作されたと思われる。見仏記がいう濃密な「藤原空間」がほぼそのまま残された稀有なお寺だ。いつか友人を誘って禅定寺の藤原空間に没入したいと思った。
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