2020年7月19日日曜日

快慶展⑮金剛峯寺の広目天

高野山金剛峰寺にある四天王は鎌倉時代再興された、四丈(約12メートル)
の東大寺大仏殿四天王像の雛形として披露されたことが藤原定家の「明月記」からわかっている。東大寺大仏殿はその後戦国時代に戦火に会い現存しないが、今回出展の広目天は出来栄えもよく快慶が担当した東大寺広目天を彷彿させる仏像だ。奈良博の岩田学芸員の図録掲載の論文によると「四天王を見ると、四躯ともに顔をかなり極端に下に向け、視線を足もと近くまで落としていることがわかる。これは尋常な表現ではないが、おそらくは四丈に達する巨像であれば、このような顔と視線の向きでなければ、観者からは像の表情をうかがうことができないであろう。」これは目から鱗の話で間接的に東大寺四天王の雛形であることを証明している。快慶展前に奈良博で修理完成しておりピカピカまるで新品のように光輝いていたのが印象的だった。四躯とも修理が完了しているのでいつか機会があれば再度高野山を訪れたいと思った。


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