福林寺の十一面観音
今度の京都・滋賀の旅行を11月5・6日に決めたのは、滋賀湖岸の福林寺十
一面観音に会いに行くためだった。平凡社の「日本の秘仏」の表紙にも出ており、一度は拝観したいと思っていた。滋賀県草津よりタクシーに乗り、守山市の福林寺に向かった。福林寺の十一面観音は年1回、11月の第一週の日曜日との情報を事前に調べてお寺にも確認してから訪問した。お寺の中に入ると本堂の裏手が収蔵庫になっており、須彌檀にこれまで対面してきた数々の観音像とは異なる容貌をした十一面観音が、すっくと立っていらした。お顔や手の白さが際立って見えた。あとで調べてみると、頭上面、両手首先や足先・持物と同じようにあとで補われて、幾度と無く塗り替えられたといわれている。年に一度のご開帳の日で近所の善男善女でにぎわう中、そばにいたお寺の関係者の方より住職の法話を収録したテープをご好意で貸していただき、本尊を拝観しながら聞くことができた。井上靖の「星と祭り」の話も出ており、「仏さまというより天平の貴人」と書いてあるとのこと。親しみやすい庶民のみほとけが多い近江にあって、そう感じさせないからであるが、それがこの観音像の最大の魅力であろう。御朱印をいただき次のお寺を予約しているので福林寺をあとにした。
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