2011年6月18日土曜日

空海のみほとけたち①(東寺 梵天)

「空海と密教美術展」が来月東博で開催される。本展覧会は弘法大師空海ゆかり密教美術が一同に会する夢のような展覧会だ。出展作品の中には以前訪れた京都東寺・醍醐寺・仁和寺の仏像のほか、まだ見ぬ神護寺五大虚空菩薩や高野山の仏像も出展される。今日から順に空海のみほとけたちを紹介する。平成20年に京都東寺を訪れた際まず最初に向かったのが講堂だ。ここには有名な空海の「立体曼荼羅」と称される仏像郡がある。入口を入ってすぐ出会うのがこの「梵天」である。「梵天」とは宇宙を創造した神で、もとはインドの神様。ブラフマンと呼ばれ手塚治虫の「ブッダ」でも登場しブッダに白毫(びゃくごう)を授けた神として描かれている。本像は本面の中央に第三の「目」をもち両脇面、それと髻の上に1面の四つの顔がある。四本の腕を持ち四羽のガチョウの蓮華座右足を前にして座っている。圧倒的に女性に人気なのが帝釈天だが、梵天もいい味出している。展覧会の劇的な照明に浮かび上がる「梵天」が今から楽しみだ。

2011年6月11日土曜日

三千院の阿弥陀三尊

平成21年の秋に京都を訪ねたとき、まず最初に向かったのが大原の三千院だ。紅葉真っ盛りのため多くの人手が見込まれるため、早朝に京都につき朝一番のバスで大原についた。大原は洛北にあり紅葉がぎりぎり間に合った感じだった。苔むした庭のの中央に阿弥陀三尊がまつられている「往生極楽院」がある。ここでは中に上がって拝観できるようになっており、来迎印を結んだ阿弥陀如来を間近に拝める。優しくふくよかな顔、特に丸みのあるアゴが福々しい。脇侍は日本的な大和座りという正座を思わせる跪座(きざ)という座り方をしている。前かがみで「あなたを迎えにいきますよ」と語っているようだ。平安時代の国宝で優しくふくよかな面相と豊かな肉付きの阿弥陀三尊は、狭い堂内においては殊に大きく感じられ、脇侍の跪座によっても三尊が迫ってくる思いがした。立ち去りがたい気持ちをあとに次の勝林院へと向かった。

2011年6月4日土曜日

醍醐寺の如意輪観音

平成21年の秋に京都山科の醍醐寺を訪れた。1日目に行った大原は紅葉が終わりのほうだったが、ここ山科は今まさに紅葉の盛りで境内の楓が真っ赤に染まっていた。三宝院の快慶の弥勒菩薩を見た後、霊宝館へと向かった。まず最初に迎えてくれるのがガラスケースに入った如意輪観音だ。あごを上げ、首をかしげてまどろむ六臂(ろっぴ)の如意輪観音は息をのむほど美しく、「生きているかのよう」という陳腐な表現もやむなしと思われる姿である。言葉が届かない美術の最高領域に、この座像は入っているのだ。実は私の自宅の壁にはこの仏像の写真をずっと飾ってある。2001年に東博で行われた「国宝 醍醐寺展」で購入したものだ。醍醐寺展以来の久方ぶりの再会を果たしたのだ。また今年の夏に東博で「空海と密教美術展」が開催されこの仏像も出展される。東博の効果的な照明の演出による展示を今から楽しみにしている。醍醐寺の霊宝館を満喫して次の目的地「法界寺」へ向かった。