2013年7月27日土曜日

中禅寺の立木観音

先週土曜日都会の猛暑を逃れて仏像クラブで日光にでかけた。竜頭滝で涼
を楽しみ中禅寺湖畔をハキングして中禅寺に到着。僧に導かれ立木観音堂に向かう。中に入って驚いた。5メートルほどする立木観音が現れた。桂の立木に彫ったことから「立木観音」と通称される巨像だ。観音は典型的な十一面千手観音(じゅういちめんせんじゅかんのん)で手に多くの持物をもち中央で蓮の花を二本持ち、合掌しているのが実にバランスがよい。「立木観音」は平安時代の作で日光最古の仏像だ。中禅寺は輪王寺(りんのうじ)の別院で大きな寺だ。五大堂・鐘楼・仁王門などの堂塔が立ち並ぶ。参拝を終え、日光名産のゆばをいただき、日光レークサイドホテルの温泉日帰り入浴を楽しんだ。仏像クラブの面々も大満足な仏像鑑賞会であった。

2013年7月14日日曜日

弥勒寺弥勒仏坐像

奈良国立博物館では、金剛寺の降三世明王以外にも特別公開された仏像
がある。それがこの弥勒寺(みろくじ)弥勒仏坐像だ。平成21年奈良教育委員会による調査で、見出された仏像だ。昨年一気に重要文化財までスピード出世し開催された新指定重要文化財展が上野の東博で開催されたおり展示されたようだが、見逃してしまった。やっとここ奈良博でのご対面となった。像高1メートル50センチの大きな仏像で、いわゆる半丈六(はんじょうろく)だ。羅髪が青紫色なのは後世の補色なのか。一木彫像で、太い造りであるが彫口は穏やかで、表情もやさしい。印相は施無畏・与願印(せむいよがんいん)で左手に宝塔を持つ。「なら仏像館」図録によると「重量感のある造形だが、ロープ上の衣紋(えもん)を整然と配する形式や、小さめな目鼻を顔の中央に寄せて表す点、足首を膝頭より奥にぐっと引くところなど、平安時代中期の作風が顕著である。」とのこと。私の好きな新薬師寺の薬師如来に続く秀作だ。大きな仏像に圧倒されいつまでも見入っていた。

2013年7月7日日曜日

東大寺不空羂索観音菩薩

奈良へ出掛ける数日前、東大寺法華堂の一般公開が3年ぶりに開始され、
その仏像修復の様子を伝えるテレビ番組を見た。明治以来の修復で、仏像も綺麗に修復された画像に目を見張った。当初予定していないかった法華堂に興福寺拝観を終えて向かった。平成20年に修復前の法華堂に行って感動したが、その時おられた不空羂索観音菩薩(ふくうけんさくかんのんぼさつ)の脇侍の日光・月光菩薩は保存のため東大寺ミュージアムに移っていたので、堂内の印象では仏像と仏像のあいだに隙間があると言われていたが、さほど気にならなっかた。ほこりが落ち輝きを増した不空羂索観音菩薩は三目八臂(さんもくはっぴ)でひたいにある目は真実を見抜く目だろうか。特異な造形ながら不自然さを感じさせない。今回の修復で、基壇のあとから8体の仏像がかつて乗っていたことが解った。秘仏の「執金剛神像」と「日光・月光菩薩」そして戒壇堂の「四天王」だ。今回はかつての光景を想像しながら鑑賞した。法華堂には他に見るべき仏像が多い。天平の鳳凰の彩色がほどこされた梵天。イラン人の風貌を持つ金剛力士阿形は逆毛だった怒髪も補修されてきれいになっていた。LEDが入っていないので、うす暗いお堂の中を目をこらしてリニューアルした法華堂の諸像に酔いしれて、東大寺をあとにした。