高野山の名宝展④
昨年のことになるが、サントリー美術館で開催された「高野山の名宝展」で、はじ
めて快慶の孔雀明王と対面した。サントリー美術館は展示会場が4階と3階に分かれており、来場者は4階から鑑賞し3階に階段でおりる順路となっている。3階への階段を下りると下に快慶の孔雀明王が見える劇的な展示となっている。孔雀明王は檜材の寄木造で、目は玉眼。肉身は淡紅色、着衣は彩色の上に快慶お得意の截金文様を施す超絶技法で飾られている。まなじりを上げ、両目を見開いた端正な顔立ちには快慶無位時代の特色が顕著で、手足の巧みな配置や整理された衣文構成にも彼の造形的特質が示されている。孔雀明王は弘法大師空海が請来した図像とされ、それを快慶はみごとに立体的な仏像として表現している。図像を忠実に再現するため、あえて孔雀の足を細くしそれでいて安定している快慶の力量に舌をまいた。会場がすいていたため、近くにあるソファーにこしかけ、じっくりと作品を鑑賞できた。至福のひとときをすごしてから、八大童子が待つ第三展示会場へと向った。
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