2011年4月16日土曜日

光の中の仏たち(奈良 西大寺)

昨年の7月、奈良国立博物館で「聖地寧波(ニンポー)展」を鑑賞したあと西大寺に向かった。本堂に入るとあたり一面、オレンジ色の光に覆われていた。無数の燈籠が壁のように並び、堂内を光で染めていたのだ。その先に仏像郡がたたずみ穏やかな眼差しを向けていた。正面に釈迦如来像があった。先ほど見てきた清涼寺の釈迦如来の摸刻像だ。私はこちらの仏様の方が日本的な穏やかな顔つきをしており、気に入った。右には鎌倉時代の高僧叡尊三十三回忌のためにつくられた大きな弥勒菩薩がありこちらもすばらしい。「見仏記」でいとうせいこう氏が愛してやまない文殊菩薩があったが、さほどのの感動はなかった。獅子に乗り、四人の眷属を従えた坐像である。右下には善財童子があり、灰谷健次郎の「兎の目」において、童子が美しい子供のイメージで描かれている。本堂を出て四王堂を拝観した。こちらには4メートルをこす平安時代の十一面観音が中央にあり、奈良時代創建の四天王がまつられていた。創建当時の四天王は焼け鎌倉から室町に再興され、下の邪鬼だけが奈良時代から残っている。展覧会の帰りに寄った西大寺は見ごたえがある寺だった。

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