2026年7月25日土曜日

弘法大師生誕1250年記念 特別展「空海と真言の名宝」②(願興寺の聖観音)


 2014年年末に多摩市の多摩美術大学美術館に「四国遍路と土佐のほとけ」展を見に行って、その主催が出した「いにしえの祈りのかたち四国の仏像」(淡交社刊)という写真集のなかで気になっていたのが、この願興寺聖観音だ。それが今度の空海と真言の名宝展に出展されるという情報を事前に知り、第一会場の空海ゆかりの名宝のコーナーに向かった。聖観音は脱活乾漆造の奈良時代の仏像で、四国でも最古級の脱活乾漆造の地方仏の数少ない名仏だ。髻は高く毛筋は丁寧に表わされ、目や口は写実的で穏やかな表現であり、清純なおとめをおもわせる顔つきでややうつむいている。胸や腹部の起伏はなだらかで均整がとれ、胸の瓔珞や腕の飾りは華やかでこの仏像をひときわ美しいものとしている。背面を含めて衣文は丁寧に表わされ、細く鎬立った衣文など細部は檜材をひいたおがくずを漆で練った木屎をへたで盛り上げたあと磨いて作り上げた木屎漆の技法が使われていることから、この仏像の製作は平城京であっただろう。奈良時代の古代寺院から受け継いだ客仏か不明だが小ぶりの仏像であるが、天平彫刻の優美さを備えた、作例の少ない脱活乾漆造の優品の一つであるとのこと。じっくりと鑑賞していたかったが、快慶の深沙大将も気になるので次の展示に向かった。


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