2022年12月30日金曜日

室生寺伝釈迦如来立像

 

今年の京都・奈良は紅葉の見ごろの時期に行くこととなったが、その1.2を争う紅葉が室生寺だった。通いなれた室生寺だったが、今年は寶物殿もでき十一面観音・地蔵菩薩・翻羽式衣文が美しい釈迦如来座像と十二神将の一部が移されていた。中の展示ケースは美しく見とれるようだったが、美術品としてしか扱われているようで、さほど感動はなかった。紅葉の写真を撮りながら鎧坂を金堂に向かう。こちらに以前と変わらない伝釈迦如来立像がおられた。内陣の特別拝観料を払い、内陣で間近に鑑賞した。お寺では釈迦如来とされているが、じつは薬師如来。薬師如来であれば、必ず持っているはずの薬壺を持たない古式の印相を示す。桓武天皇が皇太子のときに病を得て、その病気平癒のため室生龍穴で祈祷させたところ、回復したという。即位した桓武の命で興福寺僧が創建したお寺なので、釈迦如来の形式が古いのも納得できる。カヤ材の一木造りで頭部と体躯を一材で彫りだした一木造り。内刳りを施す。翻羽式衣文が美しい仏だが、光背も特殊で、板面に七仏薬師や宝相華・唐草文様を描く。比叡山延暦寺の根本中堂に祀られていた薬師如来をモデルに造立された可能性がある。美しい金堂を出て、お寺内の売店で売っていたじゅうに十二神将卯神のポスターカレンダーを購入してお寺を後にした。

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