醍醐寺の如意輪観音
平成21年の秋に京都山科の醍醐寺を訪れた。1日目に行った大原は紅葉が終わりのほうだったが、ここ山科は今まさに紅葉の盛りで境内の楓が真っ赤に染まっていた。三宝院の快慶の弥勒菩薩を見た後、霊宝館へと向かった。まず最初に迎えてくれるのがガラスケースに入った如意輪観音だ。あごを上げ、首をかしげてまどろむ六臂(ろっぴ)の如意輪観音は息をのむほど美しく、「生きているかのよう」という陳腐な表現もやむなしと思われる姿である。言葉が届かない美術の最高領域に、この座像は入っているのだ。実は私の自宅の壁にはこの仏像の写真をずっと飾ってある。2001年に東博で行われた「国宝 醍醐寺展」で購入したものだ。醍醐寺展以来の久方ぶりの再会を果たしたのだ。また今年の夏に東博で「空海と密教美術展」が開催されこの仏像も出展される。東博の効果的な照明の演出による展示を今から楽しみにしている。醍醐寺の霊宝館を満喫して次の目的地「法界寺」へ向かった。
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