2024年2月18日日曜日

特別展「中尊寺金色堂」②(阿弥陀如来)

 

             

NHKのCG8K映像を見た後、中央の展示スペースには多くの仏像が並んでいるのが見えた。U案内人から「どの仏像から見る?」と問われ私は迷わず「ご本尊から」と答えた。東博お得意の展示ケースで至距離で見る阿弥陀さんがすごかった。仏像の前面は多くの善男善女でごった返しいたから1089ブログにあった阿弥陀如来のパンチパーマのセンター分けともいうべき後頭部の螺髪に注目した。後頭部で螺髪を左右に振り分けるように逆V字形に刻む鎌倉時代に慶派仏師が行う技法が先進的に使われていた。何とか正面から見られたが思ったより肉付がよくむっちりした仏像だった。この仏像の先進性に初めに気づいたのはU案内人だった。「見る角度により仏像の表情が変わる」とつぶやいた。たしかにそのようの見えるよう計算しつくされた造形だ。のちにU案内人からメールで「この仏様集団は、形式美、様式美の芸術」という賛辞が送られてきた。会場では気付かなかったが、右肩にかかる袈裟を別材つくる運慶の円成寺大日如来で使われた技法の先駆けがここにあった。当時としては新たな造形や技法を用いているのは、奥州藤原氏がこうした新規性を受け入れられる素養があったからであろう。そのころ京都では定朝後継の仏師が院派・円派・奈良仏師と三派に分裂した時代。ここに平泉派ともいうべき仏師集団がいたという想像をするのも楽しい。阿弥陀様の造形に感度して他の展示品に向かった。

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