2020年11月14日土曜日

特別展「聖衆来迎寺と盛安寺」②(盛安寺十一面観音)

 


11月1日に訪れた特別展「聖衆来迎寺と盛安寺」に出展された多くの仏像の中で最大の見どころは盛安寺の十一面観音であろう。白洲正子のエッセイで初めて紹介されたが、「先年、近江を廻っていた時、穴太の盛安寺という寺で、美しい十一面観音にお目にかかった」と書かれており、2011年愛媛県美術館開催の生誕百年特別展白洲正子「神と仏、自然への祈り」には出展されたが、私が行った世田谷美術館では出展されなかったので2014年にお寺で窓越しに参拝した。今回の特別展では露出展示で間近に拝観することができその美しさに感動した。四臂の珍しい観音像で上半身に条帛を左斜めにかけ、両肩から天衣をかけその両端は両脇を垂下して腕前で二重にU字に垂れ、合掌する両脇から体側に垂下し、両腕に臂釧を刻んでいる。複雑な着衣でありながら美しくまとめられている平安時代の優作とあらためて思った。白洲正子によると「土地の言い伝えでは崇福寺(天智天皇創建)に祀られていた」古佛と書かれていたが、最近の研究だろうか比叡山延暦寺に近い伊香立の天台寺院にあったという記録があるという。しかし白洲正子のエッセイにあるように崇福寺の唯一の遺品のほうがロマンがあると思う。大津京のあった大津市でそんなことを考え次の展示に向かった。

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