2020年7月11日土曜日

特別展「毘沙門天」⑫鞍馬寺の毘沙門天三尊像

今回の毘沙門天展の目玉がこの国宝鞍馬寺の毘沙門天三尊像だ。鞍馬寺から
は約半世紀ぶりの出陳となると岩田研究員のコラムに書いてあったが、博物館側の高揚が伺える。像高175センチの毘沙門天の最大の特徴は普通は宝塔を持つ左手を額にかざし何かを睨み付けるような表情で遠くを眺める姿が実に頼もしい。この姿が製作当初のものではなくのちに後補されたものとのこと。現状の腕を取り付けた時点で平安京の鎮護という護法神として巨大な役割を公言したことになる。脇侍は妻子である吉祥天・善膩師童子でともに平安時代作の国宝で、鞍馬寺像が日本最古の三尊像だ。吉祥天はややふくよかな体つきと穏やかな表情が特徴で、すべてを包み込むような優しさを感じる。善膩師童子はあどけないながら賢げな表情を見せる。義経伝説に彩られた鞍馬の山寺の厳しさ想像しながら、この親子の仏像をみるといいだろう。

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