2020年5月31日日曜日

元興寺の南無太子像

元興寺にはみるべき仏像が多い。元興寺の南無太子像もそのひとつだ。見仏
記によると「きりりと利発な表情」をしているとのこと。誕生仏好きなみうらじゅん氏に「太子像は飢えた虎に餌をやるようなもの」と書かれていたがなぜこの仏像と誕生仏が結びつくのだろうか。単にベイビーを思い起こさせるだけではなくちゃんと意味がある。そこを仏の瀬谷さんは聖徳太子信仰展で解説してくれる。「二歳像は南無太子像とも呼ばれ、東に向かって南無仏と唱えたところ、手に仏舎利が顕れた様子を造形化しています。仏教の原点回帰において釈迦の誕生仏とともに、仏舎利も重要視され、舎利信仰が生まれました。二歳像はそれを取り込んだもので、鎌倉後期に数多く造られています。」とのこと。一度衰退しかかった元興寺を復興させたのが西大寺の叡尊が開いた真言律宗でここに南無太子像があるのは当然といえる。そんなことを考えながら元興寺をあとにした。

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