特別企画「文化財よ、永遠に」④ベトナム国立歴史博物館の阿弥陀如来
10月に開催された特別企画「文化財よ、永遠に」に遠くベトナムから75年
ぶりに里帰りした阿弥陀如来が展示されていた。昭和18年に東博より当時ベトナムを統治していたフランスの極東学院に文化財交換で渡り長らく行方不明になっていた仏像だ。今、東洋館で見られるクメール彫刻はその時の交換品だ。近年の九州国立博物館のベトナムとの交流事業でベトナム歴博の所蔵品がそれにあたるということが判明し、平成26年に美術院の修復で左足裏に東博のラベルが貼ってあることも見いだされ東博から送られた仏像と確定したとのこと。阿弥陀如来は鎌倉時代の仏像で快慶が得意とした金泥塗や截金文様が施されている。植え付けの螺髪の脱落は目立つが、巻き毛を表す白毫、表面の金泥塗りと着衣の截金まで造像時の装飾を残す優品だ。ベトナムではハノイからサイゴンに移されベトナム戦争やサイゴン陥落を潜り抜けよくベトナムの人が守り伝えてくれたことに感謝したい。美術院の修復で当時の美しい仏像によみがえったこともうれしい限りだ。これからもベトナムで大切に守り伝えられるであろう。
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