2025年1月11日土曜日

特別展「眷属」②(興福寺東金堂の安低羅大将)




2013年の芸大美術館開催の「興福寺仏頭展」から10年をへて今回の安低羅大将との再開である。芸大美術館では多くの十二神将と一緒に展示されていたが、改めて単独でみてもすばらしい仏像だと感じた。甲を着け、兜の頂に十二支の猿の頭部(後補)を表す。眉を寄せてにらみ、力を込めた顔面には筋肉や血管が浮き上がる。左足に重心を乗せて立ち、右手は肩の前に挙げて宝棒を執り、左手は第二指を伸ばして腰の横で軽く握る。他の十二神将の墨書より年号が発見され、抑揚に富んだ力強い造形や動的な姿勢などから、この頃の慶派の作と考えられる。安低羅大将は他の十二神将に比べ静的な印象だがかえってそれがうちに込めた力強さを表し、一緒にいった友人が惚れてしまったほどだ。鎌倉時代の「北斗の拳のケンシロウ」を思わせる十二神将だった。



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