特別展「足柄の仏像」②(大磯六所神社の男神立像)
箱根神社の素晴らしい神像群を見たあと第3章「足柄の山々に抱かれた仏たち」で足柄地方の人々により守り伝えられた仏像のコーナーに大磯六所神社の男神像が立っていた。像高は74センチと小さめで片腕がなく、腕先・足先もない姿だがなんとも雰囲気がある神像に惹きつけられた。神野ノートの神野学芸員の解説によると発見当初は両腕ともに失われていたが、右手の材と背板の下方が社殿より見つかった。右手は垂下することから、右手の持物(宝棒や戟)を執る姿であったと考えられる。眉根を寄せ瞋目(いかりめ)とする。わずかに三道相をあらわす。着甲し、背面に獣皮をあらわし、天衣・袴・短裙を着ける。前楯の帯喰は眉根を寄せ開口し帯を上下の歯で噛む。朝日観音堂の毘沙門天と製作技法が似通っており相模国で仏像・神像を造っていた仏師工房のような存在を想定してもよいかもしれない。とのこと。はかなげに見えたのは壊れていたためだと思うが、「憂愁に満ちた」青年というか眉根を寄せて苦悶する立ち姿に見えた。ネット情報によると神社ではスサノオノミコト、女神像をクシナダヒメにあてているとのこと。神奈川にも魅力的な神像が近くにあるものだと気づかせる展示だった。
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