2023年6月24日土曜日

異国のみほとけ⑥(ネパール・スワヤンブナート)


 1995年11月にネパールを訪ねた。ツアー参加者は2名現地ガイドと3名の小回りの利く旅でスタートした。カトマンドゥ上空に近づくと子供のころ大阪万博ネパール館でみた二つの目が見えた。あとで知ったのだが、ネパール最大の仏塔がそびえるボダナートだった。カトマンドゥについてヒマラヤ遊覧飛行やパタン観光を経て、カトマンドゥの観光となった。町の中心部から北西2㎞、緑に包まれた丘の頂上に白いストゥーパが見える。カトマンドゥ盆地がまだ湖だった頃から丘の上に建っていたという伝説をもつ、スワヤンブナート寺院だ。森を抜けて参道の石段を上りきれば、ストゥーパの正面に出る。ここには巨大なドルジェ(金剛杵)が安置されている。東寺展で金剛杵を見たが金剛杵とは真言宗でも使われる密教の法具だ。ドルジェに面したストゥーパの側壁に、密教の本尊仏、大日如来(毘盧遮那仏)像が安置されている。大日如来はスワヤンブナートの開基に深いかかわりがあり、それは伝説として人々の間にこう語り継がれている。「ヒマラヤの麓の湖の中の島に咲く蓮華からあるとき大日如来が姿を表した。五代山からの修行の帰りにそれを知った文殊菩薩が大日如来に敬意を表すためにこの地に足を向けた。湖に棲み大蛇の悪行を知り、剣で山を切り開き大蛇は湖とともに消えさりあとに肥沃なカトマンドゥ盆地が現れた。文殊菩薩は小高い丘となった島の上にストゥーパを建立し大日如来を万物の創造者としてたたえたという」たしかにここスワヤンブナートはカトマンドゥの町が一望できる小高い丘にたっておりわれわれツアー一行は眺望を楽しんだ。真冬の早朝には霧に覆われ盆地は霧の湖の底。伝説の湖の様子が毎朝再現されているのだ。日が昇って空が真っ青になると、霧は夢のように消えてしまう。今度来るときには早朝にスワヤンブナートに行きたいと思った。


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