2019年10月5日土曜日

特別展「国宝東寺」⑤(西寺の地蔵菩薩)

春先に開催された「国宝東寺展」で見る人をほっとさせるのが、この地蔵菩薩だ。もとは平安京遷都に伴って建立された西寺の仏像が西寺衰退で東寺に客仏できたらしい。図録や「オールアバウト東寺」による解説によると平安時代の製作で、平安初期は神護寺薬師如来を代表する厳しい表情、複雑で彫りの深い衣の襞を持ち、木の重さをそのまま伝える重量感豊かな像がつくられたが、しだいに穏やかな表現になっていった。地蔵菩薩の穏やかな表情や整理された襞は十世紀後半製作であることを示しているとのこと。真言密教の仏ではなく顕教の仏であることも会場で老若男女を癒してきた要因であろう。

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