2011年5月8日日曜日

白洲正子神と仏、自然への祈り展④(正子が出会えなかった十一面観音)

先月訪れた「白洲正子神と仏、自然へに祈り展」で私が一番印象に残った仏像が福井・大谷寺の「十一面観音坐像」だ。阿弥陀如来・聖観音と三尊で展示されていたが、中央でひときわ輝いていた。いずれも平安時代の作で秘仏であったため保存状態よく金箔も残っていた。大谷寺は役行者と同時代の高僧泰澄大師が創始者の古刹で、白洲正子も訪れたがこの十一面観音は見れなかったとのこと。本展覧会は正子のお孫さんがプロデューサーとして関わっておられ、祖母の果たせなかったこの仏像への思いを本展覧会で果たされたようだ。頭上面を二段におく十一面観音は歴史を感じさせる優品で、目鼻立ちはいたって穏やかで、頬や胸に適度のふくらみがあり、衣文を浅く刻み、全体的に温和な表情だ。私は何度もその前に立ち、正子がこの仏像に出会っていればどんな文を残したのだろうかと思った。

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