福禅寺の不動明王
温泉で朝風呂につかり美味しい朝食を食べたあと、宿からすぐ近くの福禅寺に向かった。ここ福禅寺はかつて朝鮮通信使を迎えていた迎賓館を併設していて、少し高い場所の上に建てられていた。横長の窓から真ん前の百貫島を眺めた。多宝塔が建っているのが見えた。その右が小さな皇后島で、周辺に反射する朝日がきらきらと伸びていた。早朝のことで寺男一人で何も案内がなかったが、部屋にぶら下げている漫画でこの寺の創建伝説を知ることとなった。平安時代に村上天皇の后、明子姫が出身の備後の国に寺を建ててもらうよう天皇にお願いし空也上人に命じて寺院の建立を命じた。空也上人が鞆の浦を訪れここに福禅寺を建立し千手観音を祀ったとのこと。千手観音は秘仏で見れなかったがお前立が建っていた。左右には二体の不動や地蔵半跏像、如意輪に愛染明王、矜羯羅童子と制吨迦童子二体にに役行者、青面金剛と盛りだくさんだ。中でも見ごたえがあったのが不動明王座像で像高50センチの小像だが、頭頂には蓮華を置き、左肩に弁髪を垂らし、両眼を見開き、歯をむき出しにして下唇を噛む。右手に剣を執り、左手で羂索を握り、条帛をつけ裳をつけ右足を上にして結跏趺坐する。寺男から福禅寺秘宝展のパンフレットを購入し、安国寺の阿弥陀三尊も気になるので早々に福禅寺を出て向かった。
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