平安の秘仏展②(田村毘沙門天)
本尊を拝観したわれわれ仏像クラブの面々は思い思いに他の仏像を拝観するこ
とになった。私は音声ガイドの順番通り展示番号2の毘沙門天像を拝観した。音声ガイドとみうらじゅん・いとうせいこうの櫟野寺仏像トークを聞きながら毘沙門天をじっくり鑑賞した。お寺での拝観の時とはことなりLED照明に照らされた毘沙門天はやたらかっこよかった。この毘沙門天は通称「田村毘沙門天」と呼ばれていて、蝦夷征伐で名をはせた征夷大将軍坂上田村麻呂の発願で鈴鹿の賊を退治した御礼に作ったといわれている。見仏記の中で前の御住職が「袖の下を絞っていないと山の中を歩けん」という説明にやけに説得力があることを仏像を見ながら思い出した。怒りにこわばらせた表情、立派な体格、堂々とした立ち姿は観音像が多い展覧会場にあってひときわ目を引いた。後で購入した図録に掲載したうしろ姿でこの像が太く立派なのには驚かされた。これは中国・唐時代の流行で比叡山根本中堂にも「身の太き者」といわれる毘沙門天があったといわれており、この仏像もその影響を受けているとのこと。古くからの比叡山とびわ湖の対岸にある山里の櫟野寺との交流に思いを馳せながら音声ガイドにそって次の仏像を拝観した。
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