湖北向源寺の十一面観音
約20年ほど前になるが、夏季休暇を利用して若狭・近江の十一面観音をめぐる旅にでた。その旅行でいまでも印象に残っているのが最終日に出会った向源寺の十一面観音だ。JR高月駅から歩いて10分ほどすると、「向源寺」につく。寺には多くの善男善女が観音様を拝みにつめかけていた。小さな収蔵庫のなかに官能的なお姿でたっておられたのが印象的だった。平安時代初期いわゆる貞観仏のひとつで、おおぶりな頭上面が特徴的だ。あとで知ることになるが、後ろには「暴悪大笑面」がついておられるが当時は気がつかなかった。かの白洲正子も「信仰のある村では、とかく本尊を飾り立てたり、金ピカに塗りたがるものだが、そういうことをするには観音様が美しすぎた。」と絶賛している。私はいつまでも飽くことなく観音を眺めていた。
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