2011年1月1日土曜日

興福寺の弥勒如来

平成20年秋に奈良を訪れた。最初に訪れたのは興福寺。大きな寺のため午前・午後とわけて見ることとなった。まずわれわれは北円堂に向かう。U案内人がその精神性まであらわしたと絶賛した運慶作の無著・世親菩薩像を見る。堂内に入ると中央に弥勒・右に無著・左に世親という配置だ。周りに表情豊かに怒りを表す四天王が囲む。写真でみるより小さいがさすが運慶円熟期の作品のため釘付けとなった。後で山本勉先生の文章で知ることになるが、弥勒菩薩には玉眼が使用されていない。「玉眼を使っていないその目は、無著・世親の2像と異なり、何も映さず、何を語ろうともしない。容易に内面をうかがうことなど許さないこのまなざし、この表情こそが、運慶が経験を重ね、理解を深めて、たどりついた仏像の顔なのではないか。U案内人が運慶の仏像の到達点というのもうなずける仏だった。

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