特別展「運慶」~祈りの空間ー興福寺北円堂④(弥勒如来その一)
 今週の日曜日(10月26日)半蔵門ミュージアムの講演会を聴講した。テーマは「興福寺北円堂諸像と運慶の時空」講師は山本館長だ。東博の北円堂展覧会にあわせて行ったもので、運慶研究の第一人者である山本館長が1時間半にわたって興福寺北円堂の創建と鎌倉再興、運慶の作品と北円堂諸仏作成時の運慶工房について事前に配布された講演資料をスライドの画面に写しながら語れた。特に興味をそそられたのが昭和9年の弥勒仏修理時に発見された運慶制作当初の「興福寺北円堂弥勒仏像台座反花内部墨書」に書かれた担当仏師のこと。また施主の近衛家実の「猪熊関白記」に北円堂諸仏を担当したのが運慶だと書かれているというくだりだ。いよいよ弥勒仏像(弥勒如来)に話が及んだ。弥勒仏像の光背は後補で当初は背板と円光背をあわせたインドマトゥーラでつくられた仏像に見られる「グプタ式光背」であり、その光背なら後ろに控えている仏弟子2名が隠れないとのこと。「運慶講義」で語られた「グプタ式光背」にはその様な意味があったと理解した。弥勒仏の内衣は薬師寺薬師如来や室生寺釈迦如来に見られる古くからの形式で定朝で簡略された仏像形式の復古を運慶が果たして「猪熊関白記」に書かれた「旧のごとく北円堂を建立」というう施主の要望の上をいく運慶のうまさについて語られた。次回は弥勒仏像内納入品からの話について報告する。
 
 
 
          
      
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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