2013年8月10日土曜日

興福寺の帝釈天

興福寺国宝館には阿修羅や仏頭のような有名な仏像ばかりではない。今回
見たこの慶派の帝釈天も傑作といえよう。東金堂に安置されていたと伝わるこの帝釈天は細身で動きが少なく、衣文も浅い点から、従来慶派とは異なる仏師による作と考えられてきたが、特に帝釈天の意志を感じさせる表情は慶派だろう。運慶の嫡子湛慶(たんけい)がこの仏像を参考にして、京都・三十三間堂の帝釈天を製作したと伝えられている。運慶の兄弟子定慶あたりの製作だろうか。鎌倉時代の興福寺は慶派の仏師集団が技を競い合った場所になっていただろうか。この秋、東金堂の十二神将が興福寺仏頭と一同に会する「国宝興福寺仏頭展」が上野の芸大美術館で開催される。慶派の競演が見られるいい機会なので、今から楽しみにしている。

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