滝山寺の帝釈天
運慶展ではじめて滝山寺の帝釈天に出会った。聖観音・梵天・帝釈天の三尊でお寺では拝観できるが、今回は帝釈天だけが金沢文庫に来ていた。写真で見るより小さかったが、頭の飾りが変わっており天衣の波打つ様もみごとだ。運慶が頼朝の後援で東寺の修復を行ったあとの作品のため、髻や胸のバックルなどあの東寺のイケ仏にそっくりで興味深い。会場では背中も拝観できるような展示になっており、天衣が両肩ずれ落ちているところがよく見えた。明治時代に色が塗りなおされているが、いい感じの渋い色で像の印象を壊していない。会場には聖観音の装飾金具も展示されており、運慶工房に腕利きの金具職人がいたことがわかり面白かった。山本勉先生によると顔だちはその後の興福寺弥勒如来に通じる厳しくクールな感じだという。運慶作品の分岐点になった仏像だと感じた。
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