2010年11月27日土曜日

遷都1300年奈良現地レポート(安倍文殊院)

最終日にタクシーを予約してあったので、まず安倍文殊院に向かった。受付で拝観料を払い別室でまずお茶をごちそうになった。菓子も用意されて一服いただくと、いざ文殊様に会いに行った。文殊院は本堂の奥がそのまま宝物館になっているというベストな構造で目の前に遷都1300年の特別開帳のときだけの獅子から降りた文殊様がいらっしゃた。獅子からおろしたため光背ははずされている文殊様だが、間近に見え快慶の力量を感じられた。右手に宝剣、左手に蓮を持ち、慈悲と力を併せ持つエキゾチックなお姿だ。1日目に西大寺の文殊菩薩を見ている私にとって安倍文殊院の文殊様の大きさを余計に感じる。獅子にのると7メートルになるという。連れにこの文殊様は渡海文殊と呼ばれ、獅子のたづなを引くのは優填王。前を行くのは善財童子で後ろを振り向いているのはちょうど文殊様に呼ばれた一瞬を捉えている旨説明した。テレビ見仏記で予習した成果を発揮したのである。横で聞いていたタクシーの運ちゃんが後から「前から疑問に思っていましたが、今日は勉強になりました。」と礼を言われたが恥ずかしかった。感動の余韻に浸りながらわれわれは次の目的地聖林寺に向かった。

2010年11月23日火曜日

特別展東大寺大仏(快慶作阿弥陀如来)

本日特別展東大寺大仏を再訪した。今回はU案内人との訪問となった。誕生仏や音声菩薩はいつもながらすばらしかったが、今回U案内人が特に注目したのは快慶の阿弥陀如来立像だ。運慶と金剛力士像を制作したころに重源上人の求めに応じて造られた仏像だ。U案内人は一言「快慶の仏像はきれいだ」と盛んに感動した様子だった。特に衣紋が全体にバランスがとれ、繊細な美しさをみせている。隣には同じく快慶作の地蔵菩薩立像が展示されており同じく美しかった。帰りにとんかつ屋に寄って、とんかつを食べながら、今見てきた快慶の美仏について熱く語り合った。

2010年11月20日土曜日

遷都1300年奈良現地レポート(ハリウッドテンプル)

奈良旅行最終日の最後のお寺はハリウッド(聖林)寺だ。寺は狭い坂の途中にあり、しばらくすると小さな門があった。本堂には大きな地蔵があり脇のガラスケースにも、南北朝時代の味のある毘沙門天や阿弥陀三尊があり見逃せない。左手の廊下を上がると目的の十一面がある。収蔵庫の入り口からあの憧れの十一面観音が見えた。遠目からでも美しいそのお姿はガラスケースごしだが素晴らしかった。普通のお寺より照明が明るいため,お姿がはっきり見えるのがまたよかった。肉厚な胸の下が突然細くなり全体的にはスレンダーな仏だ。金箔が細かくひび割れた顔を仰ぐ。威厳に満ちた男性的な面差しの頭上に十の仏面をいただく。私はその場に座り込み飽きることなく観音像を眺めていた。

2010年11月13日土曜日

遷都1300年奈良現地レポート(飛鳥の微笑み)

今日は法隆寺を見てから中宮寺に参拝した。以前法隆寺に参拝したとき夢殿が御開帳していなかったので、足を運んでいなかったお寺だ!聖徳太子創建の7ケ寺の一つで尼寺らしく清楚な佇まいだ。本堂に座すのは『飛鳥の微笑み』と呼ばれる笑みをたたえた菩薩半か像だ。網ごしの仏像に飽き飽きしていたところ、いきなりガラスも網もなく仏像と相対したのはよかった。アルカイックスマイルの微笑みが印象的な仏にいつまでも見惚れてしまった。

2010年11月12日金曜日

遷都1300年奈良現地レポート(唐招提寺の千手観音)

今日から二泊3日の予定で奈良を訪れている。今日は西大寺と秋篠寺を訪れ、午後から西ノ京の唐招提寺を訪れてた。修学旅行の学生でごった返す境内を平成の大修理が昨年終わったばかりの金堂に向かう。お堂の中には三体の仏様がいらっしゃった。中でも千手観音は圧巻た。ほぼ千の大小の手を持ち、大きな手にはすべて持仏を持つ。天平の傑作に圧倒され薬師寺に向かった。

2010年11月6日土曜日

特別展薬師如来と十二神将(慶派の薬師如来)

鎌倉国宝館で開催されている特別展では、十二神将ばかりでなく薬師如来の名仏も出展されている。今年は寅年は薬師如来の十二年に一度の御開帳の年にあたり各地の秘仏が見られる。出展作品のなかで特に私とU案内人が注目した仏像は東漸寺の薬師如来だ。この仏像の製作年代ははっきりしないが、仏像クラブで訪れた浄楽寺の運慶作阿弥陀如来坐像に作風がにており、図録によると運慶に近い仏師による制作であると書かれている。また紙際線をわずかに波打たせたところなど、興福寺北円堂の弥勒如来に通じるところもあるという。U案内人も何かを感じたのか、「運慶の作品と見た」とひとりつぶやいていた。私も同感である。この仏像に運慶壮年期の鎌倉での活躍に思いをはせるのは私たちだけだろうか。二人はしばらくこの薬師如来に時間もたつのも忘れて見入っていた。

2010年11月2日火曜日

特別展東大寺大仏(西大門勅額)



特別展東大寺大仏は4部構成になっているが、1部の部屋は瓦の展示が多く少々あきてきたとき、突然目の前に現れたのがこの西大門勅額だ。額に刻まれてる「金光明四天王護国之寺」の字は聖武天皇の筆によるという。光明皇后1250年御遠忌記念で開催された本展にはそこかしこに聖武天皇・光明皇后ゆかりの作品が展示されている。額には上から梵天・帝釈天・四天王・金剛力士の八体の仏像をつける。


上から6対は鎌倉時代の後補で快慶の作という説がある。下の金剛力士は奈良時代と考えられ、違いが比較できておもしろい。それぞれ79.2センチと1メートルを満たない小像だが、八体もついているので額の大きさが察せられる秀作である。

2010年11月1日月曜日

丹沢大日堂の大日如来

昨日秦野の大日堂が御開帳初日のため早速仏像クラブで出かけた。当初は伊勢原の日向薬師を参拝する予定だったが、行って見ると人手不足で宝物館が開けてもらえなかった。大日堂の御開帳が初日であることを思い出した私は、U案内人と相談して急遽近くの秦野市にある大日堂に向かった。大日堂は大山詣での登山口のひとつに蓑毛口に立つ。ボランティアの仁王門の説明を聞いて本堂へ向かう。堂内には中央に大日如来・右から宝生・阿閦・釈迦・阿弥陀と五智如来すべてが平安時代の作だというから驚きだ。U案内人が気がついたが、大日如来には宝冠がなく宝髻がむき出しになっている。ジブリアニメの宮崎監督も今年9月に訪れたという。将来大日堂や大山詣でを題材にした作品が見られるのだろうか。期待したい。ここには江戸時代製作の十王もあり見ごたえがあった。