2013年12月28日土曜日
2013年12月21日土曜日
室生寺の十一面観音
今回の奈良旅行のハイライトが紅葉に真っ赤に染まる室生寺だ。
室生口大野からバスで室生寺へ向う。紅葉に染まる門前を抜けてまっすぐ金堂に向う。お目当ては彩色がよく残る十一面観音と表情豊かな十二神将だ。本日は秋の特別公開として金堂外陣からの拝観となっており、仏像との距離が近い。金堂に入ると左端に安置されている十一面観音が眼に飛び込んで来た。肉付きがよい豊満な顔立ちというよりか、やや「しもぶくれ」したように見える十一面観音。天衣や条帛の襞(ひだ)を平行線で刻むと、全体に装飾的な傾向がつよく、女性的なやさしさが漂っている。唐草文様の光背も素晴らしく平安時代の初めの製作でありながらよく彩色が残っており、なまめかしい。私はしばらくたたずんで、十一面観音の前を離れることができなかった。
2013年12月14日土曜日
正暦寺の孔雀明王
今回の奈良旅行は11月後半だったため、あらかたの秘宝・秘仏特別開帳は終わっていた.
ここ正暦寺は鎌倉時代の孔雀明王と白鳳時代の薬師如来がご開帳とのこと。紅葉の名所とガイドブックにも書いていたので急遽コースに入れた。近鉄奈良駅から乗り込んだ臨時バスは、予想通り混在していたが、お寺につくとすばらしい紅葉で今日が1番の見ごろだという。清酒発祥の地の石塔を見てまずは孔雀明王がおられる福寿院客殿に向う。須弥檀中央に孔雀明王、脇侍が愛染明王でかためれれていた。孔雀明王は毒蛇を喰らうという孔雀を神格化したほとけで、真言密教では息災や雨ごいのお経の本尊として重要視された。明王は通常恐ろしいお顔をしているが、孔雀明王は例外で慈悲相の菩薩形に表現され、四臂(しひ)で右手に蓮華と法輪を持ち、左手にザクロと孔雀の尾羽を持つ。翼を広げた孔雀の背に乗せた蓮華坐上に座り、大きく丸く広げられた尾羽が光背になる。来年には東京に来る高野山の快慶の孔雀明王が見られる。その快慶作と甲乙つけがたいすばらしい仏像だった。私は借景のすばらしい紅葉の中でたたずみ、穏やかな気分になっていった。
2013年12月7日土曜日
橘寺の如意輪観音
奈良一日目の午後は飛鳥を巡った。鬼の俎板や亀石などを見てから、 田園風景に浮かぶ橘寺に向った。平日で静かな境内を観音堂に向う。橘寺でのお目当ては平安時代後期の如意輪観音だ。雑誌の表紙で見た写真のイメージと違い、その大きさに驚かされた。半丈六(はんじょうろく)より大きく(170センチ)6本の腕を持ち、両足裏を合わせた如意輪観音だ。密教像らしい神秘的な姿ながら、平安時代後期の繊細優美(せんさいゆうび)と形容される定朝様式を示し、抑揚の少ない体つきに丸顔で伏し目がちの穏やかな表情が、拝する人を和ませる。堂内は私一人だけだったので、しばし静かな時間を過ごす事ができた。他の参拝客がこられたので、お堂を出て境内にある謎の石造美術「二面石」を見てから橘寺をあとにした。
2013年11月23日土曜日
当麻寺の広目天
今回の奈良旅行の最後に訪れたのが、当麻寺だ。春の奈良博の展覧会では持国天一体しか出 展されなかったが、今回は四体すべて見ることができた。金銅に輝い弥勒仏の4隅に安置され4体とも2メートルを超える巨像で、東方に持国天、南方に増長天、西方に広目天、北方に多聞天が配される。静かな堂内にピンと張り詰めた空気が流れ、四天王がひっそりとたたずんでいる。Ledの光も押さえぎみなのが良かった。この四天王は法隆寺の次に古く、東大寺の四天王の前に造られたものだ。中でも広目天がよくヒゲをはやして大陸的風貌の顔付きをしている。鎌倉時代の後補の一体を除き、白鳳時代の脱活乾漆像だ。服装も古様で、襟の高い甲(よろい)をつけ、肩に布をかけて正面で結び、袖と裳裾を長く垂らし、静かな表情で直立している。四天王の姿を目に焼き付けて当麻寺を後にした。
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