2025年7月4日金曜日

特別展「超国宝」③(運慶の重源上人座像)

 

特別展「超国宝」の第一章「南都七大寺」の後半に展示されていたのが東大寺の重源上人座像だ。超国宝展の展示品の特徴はたとえガラスケースに展示された展示でもより見やすい高さに展示されているのが特徴だ。この重源上人座像もいままでよりより身近に感じる展示がせまってきた。東大寺復興を立役者と知られる重源上人だが、亡くなってまもなく、その肖像彫刻が寺に残されたとの伝記があり、それがこの像にあたるものだ。図録では作者は運慶とも快慶とも断定していないが、最晩年の重源の姿をありのまま写した、深くくぼんだ上まぶた、左右の大きな異なる目、たるんだ下まぶた、こけた頬、固くへの字結んだ口、筋と皮だけの頸など、その老いた顔つきの写実は克明だ。又、老いたとはいえ意思が強そうな数珠を持った手は銅像大仏の制作を中国人にまかせる東大寺復興にかける思いを表しており、山本先生も興福寺北円堂の無著・世親にも通じるもので、作者として考えられるのは運慶以外にない。」と著作で記載している。わたしも同意見だ。特別展「超国宝」にいってますます確信した重源像だった。

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