禅-心をかたちに展③(感応使者立像)
昨年開催された特別展「禅-心をかたちに」の禅のほとけのコーナーでは普段「禅」
とは意識していなかった仏像が集められ興味深かった。十八羅漢や韋駄天、宝冠阿弥陀などが禅寺で見られる仏像だが、ここで紹介する「感応使者立像」もそのひとつだ。なら仏像館の館蔵品であるこの仏像は異形の大黒天像とみなされ、「走り大黒」の名で親しまれてきたが、近年では寺院伽藍の守護尊である伽藍神中の「感応使者」にあたると考えられている。頭巾・袍・袴を着用し、手足を大きく前後に出して疾駆する姿の像。活き活きとした面構えと躍動する体の描写、着衣の巧みな風動表現などに、いかにも鎌倉彫刻らしい溌剌とした感覚が認められる。伽藍神といえば中国宋風の衣装をまとった鎌倉建長寺の仏像が有名だが、こちらは随分趣が異なる。京都東福寺にも似たような像があるというので機会があれば見に行きたいと思った。
0 件のコメント:
コメントを投稿