2013年1月4日金曜日

東京国立博物館140周年特集陳列館蔵仏像名品選⑥

昨年のことになるが、東博140周年館蔵仏像名品選で初めて見た仏像がこの文殊菩薩だ。仏師善円の初期の作例で奈良博の十一面観音、米国アジア・ソサエティ地蔵菩薩と作風が似ているといわれている。善円はかの西大寺の愛染明王や「解脱上人貞慶展」で金沢文庫に展示された東大寺指図堂の釈迦如来を作った仏師だ。春日四所明神の本地仏(ほんじぶつ)といわれる5躯一具の3体のうちのひとつである可能性があるという。波打つ衣文線などに宋画から取り入れた表現が見られ、そこには同じく「解脱上人貞慶展」で展示された東大寺中性院の弥勒菩薩像からの系統がうかがうことができるという。この仏像を見て以前ネットで紹介された、箱根・阿弥陀寺の文殊菩薩の写真を思い出した。その文殊菩薩も春日明神の関連する仏像で、その記事には頼朝と慶派の関係に関連して、箱根神社の別当と頼朝・慶派の関係性を指摘していた。私はそれではこの仏像が慶派か善派か解らなくなってしまった。これは箱根阿弥陀寺に出向き文殊菩薩を拝ませていただかなければ解決しないのではないかと感じた。いつか仏像クラブで箱根に出向こうと思う。

1 件のコメント:

  1. 初めまして迦楼馬ともうします。
    いつも非常に勉強になる投稿で楽しみにさせて頂いております。
    僕も仏像拝観が大好きで一昨年から仏像巡りをさせて頂いています。
    これからも覗かせて頂いて勉強させて頂きます!

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