2024年2月10日土曜日

特別展「中尊寺金色堂」①


 本日、仏像クラブの面々と東京上野で開催されている特別展「中尊寺金色堂」を見に行った。先日NHKで紹介されたようで会場には多くの善男善女が詰めかけており、大混雑であった。会場に入ると大型ディスプレイに8KCG超繊細映像で金色堂の内部が映し出されており、改めて中尊寺金色堂を体感できるような仕掛けだ。鬱蒼とした森の中、覆堂に守られ900年という果てしない時を刻んできた金色堂。当初材の9割が現存している他に類を見ない。中央が仏像の展示スペースになっており、まずは阿弥陀如来を拝観した。東博お得意の展示ケースで至近距離で阿弥陀さんを拝観する。1089ブログに書いていたセンターわけを確認し360に鑑賞した。U案内人が角度により表情が変わると驚いていた。他に金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅や金堂迦陵頻伽文華鬘なども見られ、展示品が少ない割にはじっくり鑑賞でき大満足の展覧会だった。展示品の詳細については後日また書くが、お昼まで時間が余ったので東博の他の展示を見たり外のイベントに寄ったりしながらいつもの和楽庵で大いに中尊寺金色堂の素晴らしさに大いに語り合った仏像クラブの面々だった。






2024年2月3日土曜日

みちのくいとしい仏たち⓸(宝積寺六観音)

 
会場の中ほどが「いのりのかたち宝積寺六観音像」のコウナーで展示品はこの六観音のみ。しかし横一列に自立している姿は印象的で江戸時代の儀軌にとらわれないおおらかな六観音だ。背中の墨書で尊名はわかるが、ここまでこだわりがない仏像は稀有だ。手が2本しかない千手観音や帽子を被った馬頭観音など実に自由だ。しかもこの表情ひとのよいおじさんたち総出演という感じだ。みちのくいとしい仏たち展の図録では仏像ひとつひとつの解説がされており、六体中もっとも凛々しいのが十一面観音とか菩薩より金剛童子や荒神像を思わせる准観音など仏像とみちのくの心に寄り添う解説となっている。今回の展覧会で印象に残った仏像たちだった。

2024年1月21日日曜日

みちのくいとしい仏たち③(岩手県八幡平兄川山神社山神像)

 

第二章「山と村のカミ」では仏像から発展した神像を取り上げられている。京都では松尾大社に代表される衣冠束帯の神像が多いがここ北東北ではあくまでも個人がそれぞれ思うカミが自由に製作されたようだ。ここに取り上げる兄川山神社山神像は80センチ足らずの像高でそういったもののひとつで監修者の須藤先生によれば、「この(山神像)は奇跡的に大切にされてきたもの」だと語る。一般的にお宮にある神像・仏像は秘仏でだれも見ないうちに祠のなかで朽ち果てていくことが多い。全体を見ると、異常に体が細く、角ばった山神。だが斜めからみると意外とふくよか。顔の大きさに比べ、目鼻や口、耳などのパーツが小さく、むしろこちらが山神の悩みを聞いてあげたくなる、そんな表情だ。林業に従事する人々に今もあつく信仰されているのもうなづける。

2024年1月13日土曜日

みちのくいとしい仏たち②(天台寺の伝吉祥天)

 

岩手には2009年に仏像巡りで訪れ、今回出展されている、尼藍婆・毘藍婆がある花巻の成島毘沙門堂が私の仏像巡りの北限だった。あとから知ったのが二戸市の天台寺に鉈彫様式の聖観音をはじめとして素晴らしい仏像が収蔵されているとのこと。2015年に東博で開催された「みちのくの仏像展」で鉈彫聖観音を拝観したがシャープな印象がする仏像だった。今回は展覧会のコンセプトにあった仏像が集められたようで、このこけしの様な愛らしさの伝吉祥天は太づくりの体躯、野良着のような衣装に墨描きの文様。ホトケよりカミを意識した像といえる。このようなほっとさせる仏像が会場にあふれている。夢中で次の展示に向かった。


2024年1月6日土曜日

みちのくいとしい仏たち①


 本日(2024年1月5日)東京ステーションギャラリーに「みちのくいとしい仏たち」という展覧会を見に行った。北東北の地方民間仏といわれる仏像を集めた展覧会で、初のこころみだというので期待してでかけた。初めて訪れた東京ステーションギャラリーは東京駅ドームの3階・2階の展示室と1階受付で構成された美術館で、東京駅の喧騒を抜けると静かでやさしい空間が広がっていた。全部で8つのセクションに分かれている展覧会場は「ホトケとカミ」「笑みをたたえる」「ブイブイいわせる」「やさしくしかって」「かわいくてかなしくて」などユニークなタイトルがならび展示されている仏像もほほえんでいるか、怒っていてもどこかユーモラスな仏たちでいっぱいだ。だれても癒される空間が広がっている。みちのくといわれる東北地方の仏像を見になんどもでかけたが岩手の花巻以北の仏像を見に行ってなかったので出会わなかったのであろう。私の東北仏のバイブルである別冊太陽「みちのくの仏像」(2012年発行)にも今回の目玉の展示宝積寺六観音や八幡平の兄川山神社の「山神像」が掲載されていた。今回の展覧会がきっかけで北東北のいとしい仏たちに出会う旅に出かけたいと思った。年始早々いい展覧会を見られて上機嫌で東京駅にの喧騒をあとにした。