みちのくいとしい仏たち③(岩手県八幡平兄川山神社山神像)
第二章「山と村のカミ」では仏像から発展した神像を取り上げられている。京都では松尾大社に代表される衣冠束帯の神像が多いがここ北東北ではあくまでも個人がそれぞれ思うカミが自由に製作されたようだ。ここに取り上げる兄川山神社山神像は80センチ足らずの像高でそういったもののひとつで監修者の須藤先生によれば、「この(山神像)は奇跡的に大切にされてきたもの」だと語る。一般的にお宮にある神像・仏像は秘仏でだれも見ないうちに祠のなかで朽ち果てていくことが多い。全体を見ると、異常に体が細く、角ばった山神。だが斜めからみると意外とふくよか。顔の大きさに比べ、目鼻や口、耳などのパーツが小さく、むしろこちらが山神の悩みを聞いてあげたくなる、そんな表情だ。林業に従事する人々に今もあつく信仰されているのもうなづける。
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