2025年8月31日日曜日

特別展「超国宝ー祈りのかがやき」⑤唐招提寺清凉寺式釈迦如来


 清涼寺釈迦如来を初めてみたのが2009年7月の奈良博特別展「聖地寧波」だった。間近にせまるインド式の三国伝来の釈迦如来だけが印象的だった。986年東大寺の僧が中国から日本へもたらした仏像でインド優填王が釈迦生前の姿を写し造らせたという、世界初の仏像の模刻と伝えられ、後の時代には清涼寺の本尊釈迦如来自体が世界初の仏像と信じられるようになった。つまり模刻像を中国にあった三国伝来の仏像と入れ替えたということだ。その後多くの模刻像が造られ西大寺釈迦如来や金沢文庫で称名寺釈迦如来を拝観したり、極楽寺の御開帳日に収蔵庫で出会ったりした。この唐招提寺の清凉寺式釈如来も普段は礼堂の厨子に納められており、拝観するのが今回が初めてかもしれない。模刻像制作を推進したのは鎌倉時代西大寺を復興した叡尊でその弟子が鎌倉極楽寺に来て関東にもひろまった。叡尊の指導の下、清涼寺釈迦如来を前にして制作されたのが西大寺釈迦如来でこの唐招提寺釈迦如来はそれの最古の模刻像だ。後期展示では清涼寺釈迦如来も展示されたようだが、その後大阪・京都と仏像巡りをしたので翌月も関西には出かけなかったのが残念だった。コロナ禍に清涼寺を訪れ間近に釈迦如来を拝ませていただいたことがあるので、あきらめもつくということを考えながら奈良の宿にむかった。

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