2024年10月14日月曜日
2024年10月12日土曜日
創建1200年記念特別展神護寺④(薬師如来)
創建1200年記念特別展神護寺の目玉は本尊薬師如来であろう。今回は寺外初公開ではじめて厨子から出て明るい場所での拝観となった。それでもおそろしげな仏像であることに間違いない。なぜ恐ろしげかというと正面から見るのと違い側面の突き出しで正面と側面の印象が違う。また腕・足が恐ろしく太く衣紋の表現も彫りが深く波打っている。この仏像は神護寺の前身寺院河内の神願寺の本尊である。神願寺は和気清麻呂が八幡神と約束して建立した定かくじ額寺で本尊薬師如来は道鏡皇位継承を阻んだ宇佐八幡神託事件ののち、下野薬師寺に配流となり死んだあと怨霊になり和気氏をたたるであろう道鏡調伏のためといわれている。その後空海が神願寺と和気氏の私的な寺院、高雄山寺の合併に大きく関わり、皇統と和気氏守護を願って神護寺が建立されたということだろう。京都1番のパワースポットにまた訪れたいと感じた。
2024年10月5日土曜日
特別展文明の十字路バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰②(弥勒菩薩交脚像)
特別展「文明の十字路バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰」のメインビジュアルは平山郁夫シルクロード美術館所蔵のガンダーラ弥勒菩薩交脚像だ。バーミヤン大仏の西大仏は弥勒仏といわれバーミアンが栄える200年前にガンダーラで仏像が作られ始めておりバーミヤン弥勒菩薩の原型になったという展開だ。ガンダーラ仏は①頭髪を束ねたり、丸く結う形にする系統と②頭にターバン冠飾といわれる、冠帽状のターバンをつける系統に分かれるが、①は梵天(ブラフマン)②は帝釈天を表す。手塚治虫の「ブッタ」では若きシッダールタ王子の先生として謎のブラフマン先生が生老病死を教えるシーンがあるがそのブラフマンだ。欠落した手には水瓶を持ち弥勒菩薩を表す。この像の特徴は上半身裸で、三種の首飾りや聖紂飾り、臂釧などのの装身具(遊牧民に好まれるモティーフが含まれる)をつけ、左肩から右肩にかけて天衣をまとう。特に台座に腰をおろし、足首を支える交脚倚座と呼ばれる姿である。敦煌にも交脚弥勒菩薩が伝わっているが騎馬遊牧民の王侯像に由来する。東アジアで人々を救いに導く菩薩として幅広く信仰されるが、日本には交脚弥勒菩薩像は伝わっていない。私が思うには遊牧民にとっては交脚が正式な座り方でも正座で暮らしてきた日本人にはあわなかったからだろう。このようにこの展覧会はバーミアンではなくその周辺の仏像からバーミヤンの仏像を想像してみる作業の連続でU案内人もすぐに感想が出なかった。深く考えさせられる展覧会だ。
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