2018年2月24日土曜日

特別展仁和寺と御室派のみほとけ②(仁和寺の薬師如来)

今回の「特別展仁和寺と御室派のみほとけ」では国宝の仏像が4体出展されて
いるが、その仏像が揃うのが2月14日からというので、開催から一ヶ月経ってからの訪問となった。その中で一番最初に展示されているのがこの仁和寺の薬師如来だ。像高は11センチで空海が唐よる招来した薬師如来が火災で焼けたため、平安後期、白河院の意向で御室(おむろ)覚行法親王が円派仏師の円勢・長円につくらせた貴重な白檀で製作された仏像だ。台座を含めて22センチ弱の小像ながら日光・月光菩薩と十二神将が彫られており食い入るように会場で見つめた。会場は照明を落としてあったのでよくわからなかったが截金(きりがね)文様が施された豪華な院政期の仏像だ。仏像は後半と油断していたが思わぬところで名仏に出会え後半に期待しながら会場を進んだ。


2018年2月18日日曜日

特別展仁和寺と御室派のみほとけ①

本日(17日)仏像クラブで東博開催の「特別展仁和寺と御室派のみほとけ」
に行ってきた。春のような暖かい午前中開館とほぼ同時に入場したので、少し入口で待たされた。この展覧会は先月から開催されているが、大阪の秘仏葛井寺の千手観音が今週水曜日から出開帳とのことで、この時期の鑑賞会となった。展示の前半は空海や天皇の書などが多かったが、これまた水曜日から公開の仁和寺平安時代の秘仏薬師如来が像高10センチの小さな仏ながら七仏薬師や日光・月光菩薩・十二神将まで間近にみることができた。後半はカメラを取り出して観音堂の展示に向かった。普段非公開の江戸時代の再興像が東京で鑑賞できカメラスポットになっており写真撮り放題だ。私も興奮を抑えつつ観音菩薩や二十八部衆の写真を撮った。その後は御室派のみほとけのコーナーで北は仙台から南は福岡まで多くの御室派のみほとけが並んでいた。金沢文庫でおなじみの龍華寺の菩薩像も出展されており、U案内人ははじめて見たらしくえらく感動した様子だった。最後は秘仏のコーナーで大阪葛井寺の千手観音や道明寺の十一面観音が展示されておりまさに仏像の目白押しといった感じだ。帰りの上野のそばやでいつもの天丼とそばの定食を食べながら熱く語る仏像クラブの面々だった。

2018年2月11日日曜日

金沢文庫運慶展②(曹源寺の十二神将)

今回の金沢文庫運慶展では最新の資料に基づき今は失われてしまった鎌倉の
運慶作品に関連する仏像の展示がされているのが一つの特徴だ。2Fに上がって康慶の地蔵菩薩の横に並んでいるのが、東博でお馴染みの曹源寺の十二神将だ。仏の瀬谷さんが「かなチャンネル」で紹介していたが、ここは今は失われた源頼朝創建の永福寺のコーナーで、薬師堂にあった十二神将を御家人の三浦氏の依頼で縮小リメイクしたものだ。中央にひときわ大きく立つのが巳神で像高が91センチ。他が60~80センチの像でひときわ目立ってみえる。近頃文化庁の奥建夫氏が発表した論文では源実朝が巳刻に生まれたため安産祈願を行った曹源寺で、その守護神として製作された運慶工房の製作だという。仏の瀬谷さんが「オールアバウト運慶」でのべていたが、明らかに他と出来が違い運慶の手が入っていたのではないかとのこと。3月に永福寺跡を訪問するが、等身大の十二神将が薬師如来の周りにたたずんでいるのを想像しながら見学したいと思う。

2018年2月3日土曜日

金沢文庫運慶展①

先週の土曜日県立金沢文庫で開催されている「特別展 運慶」を見に行っ
た。今回は仏の瀬谷さんの「運慶と鎌倉仏像」「芸術新潮オールアバウト運慶」を基に展示構成がなされていた。展示品が多いのか1Fの入口から特別展の展示がはじまり江戸時代に製作された東大寺金剛力士像の雛形で、あの西村公朝氏が古道具屋で見つけた慶派の流れをくむ仏師が弟子に与えたものという。鎌倉国宝館の戌神を見てから2階にあがり康慶の地蔵菩薩や鎌倉永福寺薬師堂の十二神将の模刻像である曹源寺の十二神将や永福寺出土の仏像断片を鑑賞してから、今回のメインの仏像である瀧山寺の梵天を鑑賞した。後半は運慶の兄弟弟子宗慶・実慶の素晴らしい仏像を鑑賞した。今回の展覧会は平成22年の金沢文庫運慶展、昨年の東博運慶展の完結編と位置付けており、運慶のすべてがわかる展覧会だった。また仏の瀬谷さん執筆の「芸術新潮オールアバウト運慶」を熟読したことによりより展示構成が理解しやすく良かった。来月仏像クラブで公開されている鎌倉永福寺の跡地を見学する予定なので事前に金沢文庫運慶展の鑑賞を勧めたいと思う。