2017年9月23日土曜日

特別展示「チベットの仏像と密教の世界」①

今週の月曜日、台風一過の青空のもと、上野東京国立博物館東洋館に出かけ
た。その日は無料開放日となっており、東洋館の地下1階の会場へと向かった。今、東洋館では「博物館でアジアの旅 マジカル・アジア」というテーマで展示や関連イベントが開催されており、「セブンワンダーツアー」と称して七人のトーハク研究員の案内が行われている。この日は「願いを叶える仏像の旅」というテーマでツアーが行われていたが、私がついたときには終了の拍手が沸き上がっており、残念ながら聞きそびれてしまった。展示品はすべて東博の館蔵品のため写真撮影OKで、シャッターを切る音を聞きながら鑑賞した。私も携帯のカメラを片手に夢中で展示品を見入っていた。平成21年に上野の森美術館で「聖地チベット展」を鑑賞したが、館蔵品はそれより小ぶりな展示品ばかりだが、どれもユニークで仏教を基本としながら独自に発展した仏像が興味深かった。くわしくはまたの機会に紹介するが、日本の仏像と対局にある異形の姿の仏像が次々と現れ興奮した。マジカル・アジアの他の展示品も気になるので、いったんその場を離れて他の展示品を見に行った。

2017年9月15日金曜日

奈良西大寺展③(園證寺旧像の普賢菩薩)

奈良西大寺展は現在大阪会場がにぎわっているようだが、東京と山口での展
示が園證寺旧像の普賢菩薩だ。私があこがれている百毫寺の普賢菩薩に似ている平安時代の仏像だが、近年文化庁が文殊菩薩とセットで4憶5千万で購入した普賢菩薩だ。以前は生駒市の園證寺で拝することができたとのこと。国保有となって東京の展覧会でも鑑賞する機会を得られたのはうれしいことだが、反面雰囲気の良いお寺で拝観できないのは寂しい限りだ。大振りの髻を結い、腕前で合掌し座す姿で、条帛と天衣を掛け、裙を着ける。思ったより小さかったが、高く太い髻、両肩前に表され渦文、重厚な目鼻立ちで、量感溢れる仏像だった。最近国が購入したTV見物記でおなじみの額安寺の普賢菩薩も今年奈良博でお目にかかれなかったのでいつか拝したいと思う。

2017年9月9日土曜日

信州仏像巡り⑤(清水寺の聖観音)

松代の清水寺で最後に紹介したいのが、平安時代の聖観音だ。像高160センチ
あまりの桂在一木造りで千手観音・地蔵菩薩と同時期の造像で、信州における最古の木彫仏だ。頭部を左に傾け、左手を上にあげ、右手を垂れ、左の膝を軽く緩めて、右足を踏み出す像の姿に動きがあり、然も肩の張りが極めて大きく、胴部を強く締めたその肉どりにも特色がある。膝下の裳の衣文はいわゆる翻波式衣文で、平安時代初期の仏像の特色をはっきりと示している。私が注目したのは頭部の表現で、まるで帽子を被っているようにも見えた。三体それぞれ特色があるうえ、まだ修復されていなかったり、江戸時代の補色を取られていない仏像があり見どころが多いお寺だった。丁重にお礼をいい清水寺を後にして善光寺へ向かった。

2017年9月2日土曜日

快慶展③悲田院の阿弥陀如来

今年の春、奈良博で開催された「特別展快慶」に京都東山南方の地に伝わる
の悲田院の阿弥陀如来が出展されていた。事前に多摩美大の青木先生のコラムにお寺での阿弥陀如来の写真を見ていたので、光背なしの展示だったが化仏と蓮の花と思われるすばらしい荘厳に彩られた光背を想像しながら拝観した。この仏像は平成21年の京博他の調査で頭部前面に「安阿弥陀仏」の墨書が発見された新しい快慶仏で、髻を高く結い上げ肩を露わにしない通肩の姿で、鎌倉浄光明寺の阿弥陀如来のように本来は髻を覆うように宝冠を被っていた宝冠阿弥陀だろう。悲田院は泉涌寺の塔頭寺院で最近買った雑誌によると藤原氏が創建した法性寺の跡地に建てられた寺院で文献によると「法性寺安阿弥陀仏」とし快慶が記されておりも近くに居を構えていたという。藤原一門の信西入道とのかかわりもあり藤原一族のとの交流も指摘されている。いつか訪れる機会があれば是非とも光背で荘厳された阿弥陀如来を拝観したいものだ。