2016年1月30日土曜日

水ー神秘のかたち展①

今週の日曜日六本木の東京ミッドタウンにあるサントリー美術館に行ってきた。
今月になって立て続けにテレビで紹介され、水にかかわる神仏の彫刻や絵画が展示されているとのこと。なかなかユニークで興味深い展覧会なので極寒の中でかけた。展覧会のパンフレットにも「本展は、水にかかわる神仏を中心に、(中略)水を源とする信仰に根ざした造形物を、彫刻、絵画、工芸にわたって展観することで、日本人がもつ豊かな水の精神性を浮かび上がらせようとするものです」とある。銅鐸の流水紋からはじまり、流木造像譚がある長谷寺式観音の展示、古来からの日本の水の神だった「宇賀神」、や「弁財天」、住吉神社を初めとした水にかかわる神社のご神像まで。多くの展示品で会場は埋め尽くされていた。ものすごく寒い日だったが東京ミッドタウンはよく暖房が効いていて心地よくすごすことが出来た。真冬のひとときの展覧会にありがたみを感じて図録を購入して会場をあとにした。

2016年1月23日土曜日

比叡山展③(西教寺の聖観音)

昨年行った「比叡山展」で一昨年の秋に訪れた近江坂本の聖観音と再会した。
お寺を訪れた際は偶然ご開帳されており間近で拝観できたが、今回は展覧会なのでゆっくりと見れた。今回気づいた点としては顔が面長で、小さな伏しめがちな目と、上品な鼻と口を見せていることだ。像高170センチ以上あるやや背の高い聖観音だが、頭体を一木より掘り出す一木造りで重量感がある。小さい展示品が多い展覧会の中で異彩を放つ聖観音だった。

2016年1月16日土曜日

比叡山展②(伊崎寺の不動明王)

比叡山展では以前訪れた「比叡山国宝殿」で見たことがある千手観音や五大明
王も展示されていたが、ここで紹介する伊崎寺の不動明王は初めて見る仏像だ。近江八幡市にある延暦寺の支院伊崎寺は役行者の創建で、猪がこの地に先導したことから「猪先」と呼ばれるようになったとのこと。秘仏だった不動明王は重文指定を期に比叡山国宝殿に安置されるようになった。この不動明王の特徴は太い眉毛と大きな目で、眼球の膨らみに目を大きく見開いて刻んでおり、上まぶたの途中が若干山形になり、下まぶたが大きくU字型になるなどかなり個性的な形になっている。像高は90センチ程で、平安時代初期の貞観年間に修行したお寺の僧によって自刻されたと伝えられている。京都神護寺の釈迦如来に代表される貞観仏の雰囲気をもった仏像だった。他にも興味深い展示品が多くあるので次の展示スペースに移動した。

2016年1月10日日曜日

能満寺の聖観音

昨年の10月のこととなるが、川崎市主催の指定文化財現地特別公開に出かけ
た。「神奈川仏教文化研究所」のサイトで特別公開のことを知り、急遽仏像クラブで訪問することとなった。能満寺の御開帳は12年に一度行われており、平成26年4月にも行われたが行くことができなくて残念に思っていた。現地につくとお寺にはのぼりが何本もたっており参拝客で大いに、にぎわっていた。中でも注目なのが平安時代前期の聖観音だ。像高は1メートル弱で神護寺の薬師如来を思わせるどっしりとした肉付きで安定感がある。ボランティアガイドの方の説明によるとおそらく平安時代の作であるが顔は後世の修理により玉眼がはめ込まれたとのこと。修理前の顔は貞観仏のようにきびしいのでやさしい顔になおされたのだろうか。平安時代の当初の姿を想像しながらお寺をあとにした仏像クラブの面々だった。


2016年1月2日土曜日

神童寺の蔵王権現

南山城で最後に訪れたの神童寺だ。ここは役行者が修行した寺で、修験道の
聖地吉野の北にあることから北吉野山と呼ばれている。平成26年の春「特別展南山城の古寺巡礼」にも多くの平安時代の重文の仏像が出展されており、すでに拝観しているが、本尊の室町時代の蔵王権現はまだみていなかった。住職の案内で本堂に入ると中央に片足をあげて、手に金剛杵をもち目をむき、口を大きく開いた憤怒の形相でこちらを睨みつける蔵王権現が祀られていた。以前買ったほたるの本の「ふるさとの仏像をみる」に掲載されていた神童寺の蔵王権現についに会うことができた。本堂拝観後、背後の収蔵庫に祀られた白不動・阿弥陀如来、毘沙門天、日光・月光菩薩・天弓愛染明王、役行者像を見て、絵葉書を購入してお寺をあとにした。