2025年8月3日日曜日

特別展「超・国宝」④(八雷神面)


特別展「超・国宝」は奈良国立博物館開館130年を記念して開催された展覧会であるので第二章「奈良博誕生」では国宝ではないが開館当時の奈良博ゆかり展示品が紹介されている。この「八雷神面」もそのひとつでイギリス王室が所蔵した明治14年に開催された奈良博覧会に二王子が奈良を訪れた際入手したものに興福寺の天燈鬼・竜燈鬼と揃って展示されたもの。八雷神とあるように、鬼面の頭頂にある龍とその上にまたがる鬼、鼻で隠れている両眼下にある憤怒面三面、鼻の両側に不動・毘沙門天らしき忿怒面、これに本面を合わせて、八つの面。目から上、三連の面、上顎と下顎に分かれており、各パーツを紐でつなぎ、各部を可動させる仕組みになっている。他に類例を見ない面で十八世紀より遡る資料が見られないものであるが、作風には室町期にみる素朴さも感じられる。年代判定が難しいが、室町時代から江戸時代にかけての制作とされる。国宝ではないが興味ひかれる展示であった。他の国宝の並ぶ展示へと移動した。