2017年2月25日土曜日
2017年2月18日土曜日
つながる美・引き継ぐ心展③(東南寺の地蔵菩薩)
昨年行った滋賀県立近代美術館開催の「つながる美・引き継ぐ心」展で東南 寺の地蔵菩薩に再会した。4年前日本橋の三井記念美術館で開催された「近江路の神と仏名宝展」展示されており印象が残った地蔵菩薩だった。本像は目尻を吊り上げ、口を強く結んだ表情には威厳があり、腹部やももを強調した表現には60センチ余の小像と思えない迫力に満ちている。造像は平安時代中期と考えられるが、平安時代前期の雰囲気もある滋賀県最古の地蔵菩薩だ。僧形神像として造像された可能性もあり吊り上った目や口角をあげた口元は神像としての霊威を十分に感じられる。近江で多くの神像の雰囲気をもった仏像を見てきたがこの地蔵菩薩もその雰囲気を持っている。博物館に寄託されているのが残念だが、お寺にあればより神像的雰囲気をかんじることができたであろう。
2017年2月11日土曜日
鞍馬寺の毘沙門天
昨年の京都旅行の目的のひとつが鞍馬山霊宝館を拝観することだった。鞍馬 寺は以前訪れたが、霊宝館は本堂から離れたところにあり、訪問しなかった。叡山電鉄鞍馬線で鞍馬駅で下車し門前の紅葉を見ながら長い参道を息を切らしながら本殿金堂で一休みし霊宝館に向かった。霊宝館の二階が仏像の展示室になっており中央に平安時代の毘沙門天がいらした。京都の鞍馬寺に伝わる至宝の三尊は、毘沙門天を中心に向かって右に吉祥天、左に善膩師童子(ぜんにしどうじ)が祀られ、三体とも国宝に指定されている。鞍馬寺の毘沙門天は通常の持物である宝塔を持っておらず、左手目の上にかざして都を監視している。霊宝館にはそのほかに平安時代後期から鎌倉時代の毘沙門天も拝観できるが、本像が1番出来がよかった。そのことを霊宝館に置いてある拝観者のノートに書き鞍馬寺をあとにした。
2017年2月4日土曜日
国宝阿修羅展の思い出①
平成21年春に開催された「国宝阿修羅展」で興福寺仮金堂に安置されている薬 王・薬上菩薩が出展された。鎌倉時代の製作で像高が3メートル半に及ぶ巨像で展覧会場で見上げるように見たのを覚えている。胎内納入品の木札より旧西金堂設置ということがわかっている。図録によると頭部が大きく、腹より上が短い寸の詰まったプロポーションで、腰を一方に捻るものの動きの少ない姿である。奈良時代の復古的な像が求められたという制約があったとしても、運慶の作風とは隔たりがある。運慶と近い奈良仏師の制作とのこと。興福寺国宝館が耐震工事のため丸一年休館となっているため、普段閉まっている仮金堂にて春と秋に「天平乾漆仏像郡展」が開催され江戸時代の釈迦如来・四天王とともにお馴染みの阿修羅や十大弟子や定慶作金剛力士など西金堂オールスターズが拝観できるとのこと。興福寺の仏頭の東金堂帰還とともに注目される。奈良博の「快慶展」を訪れた際、拝観したいと思う。
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