2019年6月29日土曜日

特別展浄土宗七祖聖冏(しょうげい)と関東浄土教①

16日のことになるが、紫陽花休暇で三連休だったため県立金沢文庫に「特別
展浄土宗七祖聖冏(しょうげい)と関東浄土教」を行った。聖冏上人は法然以後の浄土宗の基礎を築いた茨城県常福寺の僧で、芝増上寺の礎の一端を築いたとのこと。最初はあまり興味がなかったが、仏の瀬谷さん肝いりのプレスリリースを読み俄然興味がわいてきた。プレスリリースのタイトルは「那珂市浄福寺から貴重な鎌倉時代の仏像2件を発見。1、水戸黄門の所持した鎌倉時代最小の仏像2、浅草寺の柱で作った仏師快慶派の観音像」これは行かなくてはと思った。1階で聖冏上人像の説明を受けてから2階でポスターの表紙になっている銅造阿弥陀如来を鑑賞した。最近読んでいる「ミズノ先生の仏像のみかた」によると古代は蜜ろうで作っていた銅造仏像を鎌倉時代に入ると、木と土で作っているという。薬師寺の薬師如来に比べると表面の滑らかさが劣るように見えた。その後プレスリリースで書いてあった二つの仏像や贅をつくした水戸黄門の厨子に感動して会場をあとにした。

2019年6月22日土曜日

快慶展⑪(醍醐寺三宝院弥勒菩薩)

奈良博で快慶展が開催されてから2年経ったがいまだに快慶ブームが続いてい
るようだ。昨年も東博で「特別展京都大報恩寺快慶・定慶のみほとけ」が開催され、つい先日物議をかもした「運慶と快慶新発見!幻の傑作」という番組も放送された。いまだに思い出すのが奈良博特別展「快慶」の入口に展示されていた醍醐寺三宝院弥勒菩薩だ。一度、醍醐寺秋の特別公開で参拝した弥勒菩薩だが奈良博のドラマチックな照明に照らし出された仏の姿は感動ものだった。奈良博の山口研究員も「月間大和路ならら」で語っていたが「デビュー2作目目、個人的には最初期にして随一といえるほど優れた傑作です。」とのこと。後白河法皇追善の供養仏として製作され金泥塗を用いた最古の仏像だ。雨の日暗いお堂のなかでも渋く光っていた金泥塗のこの仏像が照明が当たることで落ち着いた光を放っいた。その秘密は金泥の製作方法にあり、粉末にした金箔が受けた光を乱反射されているからだ。快慶ワールドが一気に広がった感じがした忘れられない快慶仏だ。

2019年6月15日土曜日

特別展東寺③(兜跋毘沙門天)

特別展東寺は40万人以上の来場者を迎え今月初めに終わったが、その第二会
場で怪しい黒い目で来場者を睨み付けていたのが東寺の兜跋毘沙門天だ。「仏像のみかた」のミズノ先生によると「目が光っていますが、これは黒い石を入れているためです」とのこと。芸術新潮の「オールアバウト東寺」によると仏像は魏氏桜桃(ぎしおうとう)という中国特産の材で造られたとされており露歯の珍しい表現だ。また東寺を修復した運慶が兜跋毘沙門天を真似て願成就院の毘沙門天を作っている。兜跋毘沙門天は像高190センチあまりだがポーズや甲冑のデザインも似ているとのこと。最近放送されたNHKスペシャルで兜跋毘沙門天を二鬼を従え支える地天女が運慶作ではないか調査する様子が映し出されたが結果違うとのこと。東寺に平安時代中期に来る前は羅生門の楼上に安置されていたという来歴から当然の結果だろう。「空海と密教美術展」以来の再会となったが今回は東寺に絞った展示なのでより深く兜跋毘沙門天のことがわかりよかったと思う。



2019年6月9日日曜日

平成31年新指定国宝・重文展(香薬師堂の地蔵菩薩)

平成31年の3月に発表された新指定国宝・重文(彫刻)のなかでこれはと思
ったのが、新薬師寺の地蔵菩薩(おたま地蔵)だ。いまから25年以上前に出版された「見仏記」の初回本にも掲載されていたが、印象に残ったのが「TV見仏記」の放送でこのおたま地蔵が紹介されたときだった。裸形像は「馬陰相」という男性器つまりペニスをつけており、みうらじゅんがいとうせいこうの誕生祝にそのレプリカをプレゼントした映像が流れていた。おたま地蔵は裸形の仏像で浄瑠璃の平家残党景清にちなみ景清地蔵が昭和58年の修理の際木造の衣の下に裸形の地蔵が発見された。景清地蔵と一回りしか違わない大きさで顔は複製に本来の頭部・着衣をつけ復元した「景清地蔵」と展覧会ではなぜか顔のない裸形像二体が重文指定されたとのこと。いずれも鎌倉時代の仏像で新薬師寺の敷地内にある盗難にあってつい最近「右手」が発見された香薬師如来のあった香薬師堂に収められている。私は「馬陰相」をじっくり見てから展覧会を後にした。

2019年6月1日土曜日

八王子・清鏡寺の十一面観音

今週の日曜日真夏のような暑さの中仏像クラブで初めての八王子の仏像巡り
を行った。当初予定したお寺が連絡が取れずに八王子大塚の清鏡寺に連絡しご住職不在であったが快く拝観に応じていただいた。清鏡寺は帝京大学のある八王子大塚の近くで、階段の上の観音堂で連絡をとり本堂の中のガラスケースになっている収蔵庫を見せていただいた。ガラスケースの中には二体の仏像が安置されており、本尊の秘仏千手観音は平安後期以降の作。そして客仏の像高90センチあまりの十一面観音を拝観できた。ブログによると近年修理され近世の彩色が除去され金を基調とした古色に仕上がられている。観音は鎌倉期の仏像らしく理知的な顔立ちをしており手に持つ水瓶や衣文の襞を多く刻んだ入る装飾性に優れた仏像だ。本尊の千手観音も小像ながら真数千手で仏像クラブの面々も食い入るように見ていた。八王子に行き資料館の白鳳仏を見てから遅めのランチを本格的割烹料理屋の1Fの食堂ランチをいただき会員から話が出た八王子芸者のお練り巡業を見て一同満足して帰路についた。難航していたお寺選びだったが思ったよりいい仏像に出会えやはり開催してよかったと思う。