2026年4月4日土曜日

永青文庫令和7年度早春展「アジアの仏たち」(番外編)


2月に永青文庫で開催された「アジアの仏たち」には出展されていない細川護立氏が東博に寄贈した宝慶寺石仏群の大型の石仏龕を見に東洋館に向かった。中国の仏教美術は唐時代に完成形を作り上げたが、とくに7~8世紀にかけて、インドの肉体表現と中国伝統の衣服の衣服表現を見事に調和させ、東アジア的な面貌をもつ理想的な中国仏像を生み出したとのこと。早崎稉吉から細川護立へ渡った中国石仏は西安、すなわち唐時代の帝都であった長安周辺で蒐集されており、上質の作品が多い。東博には宝慶寺石仏群として15点が細川氏より寄贈されているが、この石仏群はもとは則天武后の正当性を立証するよう命じられた僧が立てた寺院より移ってきた客仏で、則天武后の時代を代表する名仏である。なかでも写真の像高85センチあまりの十一面観音龕は出来映えがよく、水瓶をもつ左腕が長く、全体に痩身でありながら、相貌や肉身は張り詰めたみずみずしさがある。本像も8世紀初めを代表する作例で、中国彫刻だけでなく、その影響を強く受けた奈良時代の日本の彫刻の展開を考える上でも重要な作品と東博も大絶賛している。よく細川護立氏は手放してくれたことに感謝し東博東洋館アジアギャラリーをあとにした。