2019年1月27日日曜日

特別展顕れた神々~中世の霊場と唱導~:後編(佛法紹隆寺の普賢菩薩)

県立金沢文庫で開催された特別展「顕れた神々~中世の霊場と唱導~」には
何点か神像のような仏像も出展され、昨年金沢文庫「運慶展」に出展された話題となった不動明王がある佛法紹隆寺から普賢菩薩が出展されていた。以前、信州の仏像写真集に掲載されたお寺を巡り信州を旅したことがあったが、1回の旅では見切れない仏像の多さを感じた。前回の旅では長野善光寺近辺の寺々を巡ったので諏訪地区にある仏法紹隆寺は訪れなかった。普賢菩薩はもとは諏訪大社の妙法院に伝来していた像で、鎌倉時代に制作された。佛法紹隆寺は諏訪大社の別当や諏訪高島藩主の祈願所などを務めていた古刹のため伝来したと思われる。長野市の長谷寺の御住職のお話だとまだまだみるべき仏像があるみたいなので、またいつか訪れたいと思う。

2019年1月19日土曜日

特別展顕れた神々~中世の霊場と唱導~:前編

県立金沢文庫で今週の月曜日まで開催されていた特別展「顕れた神々~中世
の霊場と唱導~」に今週日曜日に出かけた。閉会間近ということで、図録は購入することができなかったが、解説もかかれておりよく理解できた。1階には前田青邨、白洲正子旧蔵の十一面観音が伊豆山権現の青銅の神像の横に展示されてあった。平成23年の世田谷美術館開催の「白洲正子展」に出展されたとき鑑賞して以来の再会だ。当時は図録にも詳細が記載されていなかったので解らなかったが、金沢文庫発行の補助解説冊子によると平安時代の作で神仏習合により神像と仏像のそれぞれの特徴が混在したような仏像の代表作として展示されていた。十一面観音は素木造りで細部が省略された仏像。頭部の化仏がのっぺらぼうなのは当時摩滅したと思っていたが、ネットによると仏が今まさにあらわれようとする瞬間を表した霊木仮験の表現とのこと。展覧会のタイトルにふさわしい仏像だ。その他春日神と箱根神の可能性がある東博の文殊菩薩に似た阿弥陀寺の文殊菩薩も展示されていた。多くは神や神の志現を表した絵画作品が展示されたいたが仏の瀬谷さんが「カナチャンTV」で日本のすべての神様にお出ましいただいたと豪語する展示内容となっていた。学芸員の説明は最後のほうしか聞けなかったがこじんまりまっとまった金沢文庫らしい展覧会だった。

2019年1月13日日曜日

特別展「京都大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」⑤(定慶の六観音)

私が初めて大報恩寺を訪れたのは、平成21年紅葉真っ盛りの京都で、霊宝殿で見た六観音の素晴らしさに感動し、そのあと本堂釈迦如来の御開帳のおりにも拝観した。昨年東博で大報恩寺展が開催されより深く知ることができた。大報恩寺には由来不明の仏像が多く、この六観音もそのひとつであるが、展示では近くの足利義満創建の北野経王堂の洛中洛外図の展示もあり、この六観音が北野経王堂から移座されていることを示唆している。会場では六観音の光背を外した展示がされており右から如意輪・准胝・十一面・馬頭・千手・聖観音となっている。作品は肥後定慶の統率のもと門下の仏師と快慶一門や他の慶派の仏師が総動員で鎌倉時代に製作された。このなかで准胝観音のみ定慶の墨書があり彼自身が携わって製作されたとのこと。学芸員の皿井氏によると「運慶と作風が非常によく似ていて、頬のふっくらした丸み、その柔らかさまで伝わってくるような立体、質感表現の巧みさは運慶八大童子にも見られる」とのこと。カメラスポットである聖観音像の写真をとり、最後の展示に向かった。

2019年1月4日金曜日

大池寺の釈迦如来

昨年の11月に櫟野寺の開帳に行こうと櫟野寺HPを調べていたら甲賀三大佛
の紹介ページにリンク出来たので、今回は櫟野寺だけではなく三大佛も一緒に見ようと計画していた。そのことをU案内人に話すと大池寺には学生時代に訪問し、小堀遠州の庭にいたく感動したとのこと。こちらは仏像がメインだが庭も素晴らしいらしいので写真に収めてこようと思った。JR西日本のローカル線で三雲駅におりタクシー会社の小さな事務所でタクシーに乗り換え大池寺に向かった。よく整備された参道を通り、入口から本堂へ向かう途中に蓬莱庭園と呼ばれる庭に面した部屋で一休みした。息をのむような美しい庭で中央にサツキの大刈込がある凝った庭の造りになっており、ちょうど紅葉が見ごろで、もみじが真っ赤に染まっていた。仏像は本堂にあり、行基作と伝えられた丈六の釈迦如来があり見ごたえがあった。甲賀三大佛の最初で幸先がよくよいお寺を参拝できてこの後期待が高まり、タクシーを待たせてあったので、お寺をあとにした。