元興寺の阿弥陀如来
2月に訪問した元興寺の阿弥陀如来は平安時代10世紀の作で室町時代に焼失した多宝塔から本堂に移された記録がある。元興寺の仏像と言えば八世紀の薬師如来が有名だが、こちらは見仏記によると幼い風貌の阿弥陀如来とのこと。本像は半丈六の座像でケヤキ材の一木造りで衣の襞や身体のしわなど、一部に塑土を併用してふくらみをだし、金箔を押されている。堂々として体躯の柔らかい表情を持つ仏像だ。袈裟の着方は変則的な偏袒右肩(へんだんうけん)でミズノ先生によると中国河西回廊で流行った仏像の様式で「涼州式偏袒右肩」といわれている。寒い地域で流行った仏像の着衣形式で肌の露出を避ける点で日本人に受け入れ易かったのだろう。印相はいわゆる来迎印で親指と人差し指を接し、右手を上にあげて、左手を下げている。ゆったりとした時間でゆっくり鑑賞できて満足して元興寺をあとにした。
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