特別展「毘沙門天」⑤(ロサンゼルスの毘沙門天三尊像)
今度の展覧会で一番楽しみにしていたのがロサンゼルスの美術館から来た毘
沙門天三尊像だ。元出雲の岩屋寺にあった仏像でファイバースコープでの胎内調査によると吉祥天と善膩師童子の梵字があり、文化庁保存の古写真によると確かに三尊だったようだ。毘沙門天はギリシャ神話のヘラクレスのような前面に龍をあわわした冑を被り、肩喰には怪獣の面、オールバックの髪型の帯喰の鬼面などがあり見ていて飽きない。鎧にも唐草風の植物文様や花弁で表され装飾性に優れた仏像だ。口は大きくあけて舌をのぞかせている点は毘沙門天としては珍しいと図録に書いてあった。確かに今までみた毘沙門天は仏頂面をして口を真一文字に結んでいる。鎌倉時代に院派の院快が修理を行い色鮮やかな朱や緑青といういわゆる紺丹緑紫で彩られてとても印象的な仏像だ。この仏像に出会えてわざわざ奈良まで来たかいがあったと思った。
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