当麻寺の広目天
今回の奈良旅行の最後に訪れたのが、当麻寺だ。春の奈良博の展覧会では持国天一体しか出
展されなかったが、今回は四体すべて見ることができた。金銅に輝い弥勒仏の4隅に安置され4体とも2メートルを超える巨像で、東方に持国天、南方に増長天、西方に広目天、北方に多聞天が配される。静かな堂内にピンと張り詰めた空気が流れ、四天王がひっそりとたたずんでいる。Ledの光も押さえぎみなのが良かった。この四天王は法隆寺の次に古く、東大寺の四天王の前に造られたものだ。中でも広目天がよくヒゲをはやして大陸的風貌の顔付きをしている。鎌倉時代の後補の一体を除き、白鳳時代の脱活乾漆像だ。服装も古様で、襟の高い甲(よろい)をつけ、肩に布をかけて正面で結び、袖と裳裾を長く垂らし、静かな表情で直立している。四天王の姿を目に焼き付けて当麻寺を後にした。
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