山田寺の仏頭に再会する
奈良国立博物館の後、昼食をすませて興福寺に向かった。まず最初に向か
ったのがリニューアルした興福寺国宝館だ。以前奈良を訪れたときも入ったが、その後「国宝阿修羅展」を機に館内の照明や展示方法をリニューアルし、生まれ変わった。館内に入るとまず探したのが、あの山田寺の仏頭だ。白鳳時代の青年貴族の面影が漂う名品だ。国宝館では露出展示されており、劇的な照明に映し出されて、輝いて見えた。山田寺は大化の改新の功績があった蘇我倉山田石川麿の創建と伝えられる寺だった。しかし蘇我倉山田石川麿が暗殺されたため、その後寺は荒廃し、鎌倉時代に興福寺の僧たちにより盗まれた薬師如来が日光・月光菩薩とともに興福寺に移されたいわくありげな仏像だ。その後火災で焼失した際、奇跡的に頭部だけが残り、昭和12年に発見されるまで500年もの永きにわたって忘れ去られた存在だった。女帝の思い・寺院勢力による強奪や火災など数多の苦難がその顔に刻み込まれており、それでもなお遠くを見据え続ける凛(りん)とした表情は多くの仏像ファンを虜にする白鳳時代の逸品だ。この秋東京芸大美術館で「興福寺仏頭展」が開催され、東金堂の十二神将と一緒に上野で会えることになっている。みうらじゅん氏やいとうせいこう氏が仏頭大使に任命されキャンペーン展開中だ。上野で十二神将に囲まれた仏頭を今から楽しみにしている。
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