2023年3月19日日曜日
2023年3月11日土曜日
令和5年 新指定国宝・重文展②(京都 上徳寺の阿弥陀如来)
新指定国宝・重文展では往々にして作品保護のため壊れやすい光背を外して展示されているケースがみられ、あの願成就院不動明王も光背なしの展示だった。ここに紹介する京都上徳寺の阿弥陀如来も文化庁HPや図録では素晴らしい火焔光背が展示されなく残念であった。上徳寺は京都五条にあり京都冬の旅2023の公開寺院となっているが、本尊は国宝重文展に出展のため一時期京都を離れて拝観することが出来た。印相が通例とは逆で深く自由な衣文の彫り口や張りのある肉付けより13世紀前半の製作とみられる。下半身のV字は印相とともに中国・宋時代の画像から採り入れたもので、鎌倉時代に奈良で活躍した善派仏師の作例にままみられ、同派の仏師によって造られたとみられる。問題の唇に水晶を貼装するいわゆる玉唇の技法はきわめて珍しいもので、生身信仰に関連するものと考えられる。鎌倉時代の優品で図像や作風に特色ある一作として注目される。毎年見ていた五条の街並みにそのような仏が隠されている、京都の奥深さに感動した作品だった。
2023年2月19日日曜日
特別企画「大安寺の仏像」番外編(興福寺北円堂の四天王)
企画「大安寺の仏像」には出展がないが、
もし実現すればより素晴らしい展覧会になっていた仏像を紹介するそれは興福寺北円堂の四天王だ。鎌倉時代の修理墨書で造立は791年と特定され元大安寺伝来とのこと。つまり桓武天皇の在位中で平安遷都の前の時期で、天智天皇発願の釈迦如来もあり行教らも活躍した大安寺にとって華やかころの四天王だ。片足を曲げて邪鬼の頭を踏みつけたり、片手を腰に当てたり高く頭上に掲げたりと前の時代よりしぐさに変化が現れ、身振りも大きくなっている。目を大きく見開き、口をへの字に結んで仏敵を威嚇する表情が滑稽さを感じさせる持国天。北円堂の八角須弥壇の四方隅に安置される四天王像の1体だ。檜材を荒堀し、麻布を貼りつけた上に木屎漆(木粉などを混ぜた漆)を盛って彩色を施す。邪鬼を両足で踏みつけ、肩をいからせ、両手を交差させたポーズをとる。その他の四天王もとても個性的で北円堂と言えば弥勒如来・無著・世親に目を奪われるが今度行く機会があれば四天王もじっくり見てみたいと思う
2023年2月11日土曜日
令和五年新指定国宝・重文展
今週の日曜日、4年ぶりに東博で開催された令和五年新指定国宝・重要文化財展に出かけた。新指定国宝・重文展には思いれがあり、あこがれていた高野山の快慶作深邪大将や仏像を始めた当初から愛してやまない宝山寺の制多迦童子やTV見仏記で取り上げられた新薬師寺のおたま地蔵に出会ったのも新指定国宝・重文展だった。今年の会場は平成館で特別展の開催期間中でもないので、ひっそりとしており落ち着いて鑑賞できた。企画展示室の入ってすぐのガラスケースの中に、京都福知山の観音寺不動明王が展示されていた。脇侍の制多迦童子らの展示は見送られたらしく残念だった。京都上徳寺の阿弥陀如来は唇に水晶を貼りつける「玉唇」が見どころだったがガラスケースの中の展示だったのでよくわからなかった。京都聞名寺の阿弥陀三尊は後期(2月14日)からの展示で見れなかった。重要文化財に指定されてもこの展覧会に出展されない仏像もあり、瀧山寺の日光月光菩薩などみたい仏像も展示されてなく、満足度はそれ程高くなかった。しかし、感染症蔓延のこの時期によく開催してくれたことを関係者に感謝して大安寺の仏像が待つ東博本館に向かった。
2023年2月4日土曜日
特別企画「大安寺の仏像」⑤(増長天)
両足を開き、顎を引いて正面を向いて直立し、布をまとった肩に頭がどっしりとすわる姿には力強さが込められている。肉付きのよい頬や家宅結んだ口元が、より一層落ち着きを感じさせる。髪筋を疎らに彫り、結い上げた髻が大きく広がる点が特徴的で、甲の装飾性は比較的控えめですが、腰に巻いた帯の下には木の葉のような文様が彫り表されている。今度の日曜日に東博で4年ぶりに開催される新指定・国宝・重文展のついでに大安寺の仏像を再訪する予定だ。今度もじっくり写真を撮ってきたいと思う。
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