2022年9月3日土曜日

特別展「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」④(満願寺の観音菩薩)

 

運慶 鎌倉幕府と三浦一族展の中ほどに像高224センチ余りの巨大な観音菩薩・地蔵菩薩が見えた。これが満願寺の観音・地蔵菩薩だ。仏像クラブでは何度もお寺の収蔵庫で拝観したが、展覧会で見るのは東博運慶展以来久しぶりだ。満願寺は三浦一族の佐原義連(よしつら)の創建だが金沢文庫の仏の瀬谷さんは義連創建にその大きさから疑問を呈している。満願寺の菩薩像は周八尺像で通常の丈六像の4分3くらいのサイズ。和田義盛が建てた浄楽寺の本尊ですら半丈六であり、北条時政の願成就院の本尊も半丈六。それは丈六仏の造立は幕府=源頼朝が独占しており、造仏においても鎌倉殿を頂点とした序列化が図られていた。このように考えると満願寺の菩薩像を造ったのは頼朝その人であるという答えが自ずと導き出されると断定している。吾妻鏡にも頼朝のが三浦願矢部郷に一堂を建立したという記事から木造のあった三浦義明のために追善像として頼朝が創建したとのこと。また地蔵・観音の脇侍の組み合わせは珍しいが松崎吉田寺の例を挙げている。つまり満願寺にも丈六の巨大な阿弥陀像があったということになり想像が膨らむ。U案内人も一番印象を受けたらしくしばらくたってからも満願寺観音・地蔵菩薩のことを熱く語っていた。


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